相続した「不要な土地」を手放せる…一見便利な「相続土地国庫帰属制度」の落とし穴【司法書士が解説】

相続した「不要な土地」を手放せる…一見便利な「相続土地国庫帰属制度」の落とし穴【司法書士が解説】

相続登記義務化によって、相続した土地はすべて登記しなければいけなくなった一方で、価値のない土地は相続したくない、手放したい、という人は少なくありません。そのような状況を改善するために「相続土地国庫帰属制度」が施行されます。ただし、この制度には気をつけなければならい点があると、永田町司法書士事務所の代表、加陽麻里布氏はいいます。「相続土地国庫帰属制度」の落とし穴にはまらないよう、注意点をみていきましょう。

「相続したいけど土地はいらない」…その理由とは

義務化によって相続登記をしなければいけなくなった一方で、「相続財産に土地があるけれど、いらない」「土地だけ相続せずに手放したい」という人は少なくありません。実際に司法書士として働いていると、「お金などの金融資産は相続したいけれど、土地は相続したくない」という相談はやはり多いです。

 

山林や畑などは管理が非常に大変です。二束三文の土地を相続してしまい、売るに売れないのに管理費はかかる。だとしたら土地はいらない……と考える方は少なくありません。

 

しかし、従来の相続制度では金融資産を相続して、土地のみの相続を放棄する、ということはできませんでした。土地の相続を放棄したいのであれば、金融資産を含めたすべての相続を放棄する必要があったのです。このような理由で、相続人同士での土地を押し付け合いが起き、相続がまとまらないケースは多くあります。

 

そんななかで、相続登記義務化によって、相続したくない土地でも、きちんと相続の申請する必要がでてきてしまいました。

相続土地の所有権を手放せる「相続土地国庫帰属制度」

こうして相続したくない土地を相続してしまった人のために、相続した土地の所有権を手放せる制度、「相続土地国庫帰属制度」が創設されました。

 

条件が細かく定められていますが、主に次の6つの条件を満たすことが必要です。

 

■「相続土地国庫帰属制度」適用のための6つの条件

 

1.土地の上に建物がない

2.境界が明確である

3.土壌汚染などがない

4.通路などではない

5.担保権や使用権、抵当権がない

6.管理が難しくない

 

これらの条件を充足し、法務大臣の承認が得られれば、所有権を手放すことができるのです。

 

しかし、この「相続土地国庫帰属制度」を利用するには、10年分の管理費を国に予納する必要があります。

 

土地の管理費がいくらになるのかはその土地によって違いますが、例を挙げると、「あなたが帰属を希望している土地には、1年あたり10万円の管理費がかかるので、10年分で100万円を予納してください」といわれると、金銭的に厳しい方もでてきてしまいます。

 

そのような場合は、相続土地国庫帰属制度の利用ができないため、冒頭で解説した相続登記義務化に戻ります。相続登記を申請し、土地を所有しなければならなくなるのです。

 

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