19世紀に活躍したイギリスの批評家、トーマス・カーライルはこう語っています。
「失敗の最たるものは、失敗したことを自覚しないことである」
挫折や失敗のない人など、どこにもいません。問題は、それを認め、その経験を次へとつなげていけるかどうかです。そのきっかけになるのが「キャリア自分史」づくりです。
「やったこと」だけでなく、「やらなかったこと」も深掘りしながら書き進めると、クオリティの高い「キャリアメモ」ができあがり、「現在の私」の姿がより的確に理解できるようになるでしょう。
「キャリア年表」「キャリアレコード」「キャリアメモ」ができあがったら、それらを見ながら、図1「ライフデザインの構築」のなかの「仕事歴」「学習歴」「経験歴」の欄に、それぞれ3つずつ記入してみましょう。
天職の道を探る「キャリア目標」を立てる
キャリアヒストリーとして過去を振り返ったら、次は未来に向けた「キャリア・ビジョン(未来展望)」を構想します。「キャリア目標」を立てる、「将来の夢」として「天職への道」を探るという2つのプロセスです。
壮年期に向けた「キャリア目標」は、まず、「将来、自分がどんな人生を送りたいか」、つまり、実年期(65〜80歳)、さらには熟年期(80〜95歳)に、どんなライフ(生活・人生・生命)を実現したいかという、自分が望ましいと思う「将来の夢」を思い描くことから始まります。
そこから、それを実現するための仕事、学習、経験の目標を立てます(図2)
学習目標…将来の夢を実現するため、どのような知識や能力を身につけるか。
仕事目標…将来の夢を実現するため、どのように仕事力を高めるか。
経験目標…将来の夢を実現するため、どのような経験により人間力を磨くか。
その際、3年後、5年後、10年後……と、期限を区切って、具体的に目標を設定すると効果的です。仕事、学習、経験という三つの側面について、挑戦したいキャリアやより磨きをかけたいキャリアを、いつまでに実現するのか、未来展望を書き込みます。
ビジネスパーソンの場合、壮年期に向けては、やはり、仕事に関する目標や希望が将来的にもつながっていくでしょう。そこで、仕事目標を土台にして、それを実現するために必要な学習目標、経験目標について構想するのも一つの方法です。
ポイントは、それぞれの目標を別個のものとは考えず、相互関係を意識することです。
また、将来的な目標は一気に達成できることはないでしょう。一つの目標を達成して力をつければ、もう一回り大きな目標に挑戦できます。一歩ずつキャリアを積み上げていく発想が大切です。
それが、「天職への道」となっていくはずです。