グロース株優勢の修正進む
グロース/バリュー比率が大きく低下
■米国株式市場は実質長期金利が上昇する中、グロース株が調整色を強めています。昨年末から1月28日までの下落率はS&P500グロース指数が▲10.9%、同バリュー指数が▲2.7%です。昨年年央から再加速したグロース株優勢の流れは修正過程にあります。
強まった債券価格とのプラスの相関
金融政策を巡る混乱の落ち着きを待つ展開
■S&P500グロース指数と同業績、債券価格との相関を調べました。業績との相関は弱く、債券価格とのプラスの相関が非常に強くなっています。こうした関係は金利の低下が想定される金融緩和局面であれば追い風ですが、現時点では逆風となります。グロース株のボラティリティの低下には、金融政策を巡る混乱が落ち着くのを待つ必要がありそうです。
逆風下だからこそ業績に注目
■3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、金融政策の見通しが明確化すれば、短期的には長期金利の上昇が一服する可能性があります。その後、景気が堅調に推移する中で金融政策の正常化が進行するため、長期金利は緩やかながら上昇すると見られます。合わせて業績の改善が期待され、株価は堅調に推移すると思われますので、債券価格の下落と株価の上昇という関係となり、相関係数はマイナスに向かう見込みです。また、株価と業績の関係は正の相関が強まると考えられます。
■調整色を強めるグロース株ですが、企業がクラウドを積極的に活用し付加価値を創造するなど、ビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)化が急速に進む状況に変化はありません。今後もその恩恵を受けるグロース株の業績拡大が期待され、株価パフォーマンスの好転も見込まれます。逆風下だからこそ、次の展開に備え業績に注目しておくことが重要だと考えられます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『逆風下の米国グロース株』を参照)。
(2022年2月1日)
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