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サービス担当者会議のはずがケアマネの独演会に
「利用者さんとそのご家族は、担当することになったケアマネが満足のいく仕事をしてくれる人かどうかもわからず、いわれたことに従っているだけ、という話をよく聞きます。でも、良いケアマネかダメなケアマネかが判別できる機会があるんです。介護が始まるときに行なわれるサービス担当者会議です」
こう語るのは、訪問介護事業所を運営している竹内さん(50代・女性)です。
サービス担当者会議は介護サービスを開始する前に行なわれる会議。ケアマネが作成したケアプランに組みこまれたサービス事業者が、利用者宅に集合して開かれます。
出席するのは利用者とその介護をおもに担う家族、ケアマネ、サービスを提供する事業者やその責任者です。目的は今後、介護支援をしていくにあたっての情報の共有。
ケアマネは利用者の課題と、その改善のためにケアプランに盛りこんだサービスを説明し、サービスを提供するうえでのルールなどを決めていきます。利用者・介護者には、それを了解してもらうとともに要望を聞き、サービスに反映させるのです。
自身もヘルパーとして20年近いキャリアをもつ竹内さんは、この会議に数えきれないほど参加してきました。そして、会議での言動から「良いケアマネかダメなケアマネかがわかるようになった」といいます。
「司会・進行を務めるのはケアマネです。その役割からもケアプランをつくった立場からも発言の機会は当然多くなりますが、ダメなケアマネはほとんどひとりでしゃべりっぱなしなんです。会議の主役は利用者さんと、そのご家族なんですが、ほとんど発言の機会を与えない。たしかに、介護をスタートするときのサービス担当者会議は、利用者さんもご家族も介護サービスの知識はほとんどないですから、何をしゃべっていいかもわかりません。それをいいことに話を振らないんです。
また、そういうタイプは介護初心者にはわからない専門用語を当たり前のように使いますから、ますます話せなくなります。でも、これから始まる介護の不安を取り除くために質問や要望を聞く大事な機会です。ケアマネとしては誰でもわかる言葉で説明し、『何でも聞いてください』といった感じの話しやすい雰囲気をつくることが務めでしょう? ダメなケアマネはそういう配慮に欠けるんです。
さらに、サービス事業者にも発言させてくれません。そういうケアマネはサービス事業者を下に見る傾向があって、『私がすべて決めるから話を聞く必要はない』という態度なんです。そんな調子だから、会議とはいっても誰も発言しようとしません。発言しないということは主体的にサービスをしようという気持ちにもなれなくて、モチベーションも上がらない。その結果、利用者さんに良いサービスを提供できないということになるんです」