(※写真はイメージです/PIXTA)

投資家にとって、不動産賃貸業を営むにあたっていちばん不安に思うところの一つに「始めたことによってトラブルに巻き込まれるんじゃないか」というものがあるでしょう。しかし、その実態を知ることで、事前に防止策を講じたり、巻き込まれた際の対処法を理解したりしておけば、多少なりとも不安を解消することができるはずです。賃貸管理業務を行う筆者が、実際に寄せられたトラブルを紹介します。

保証会社から連絡があるケース

保証会社から連絡があるケースは、当然ながら賃料がらみです。

 

①入金確認の場合

入居者が保証会社という仕組みをよく理解しておらず、収納代行を行っている保証会社ではなく管理会社に直接賃料を支払い、保証会社的には未収のようになってしまう場面が定常的に発生しています。これはトラブルではなくただの確認です。

 

②滞納が複数ヵ月になっている場合

保証会社は、プランにもよりますが滞納があっても家主(管理会社)に対し賃料の立替送金をしてくれるのが一般的です。ただし、無限に立て替えるわけにもいかないので、督促の甲斐なく3ヵ月分滞納が溜まると追い出し手続きに移行することになります。

 

具体的には裁判へ移行し判決を得るわけですが、その際も手続きは保証会社が追い出し完了(または滞納解消)まで代行してくれます。

 

それにあたり家主側の手続きとしては、委任状を書く必要があります。そのあと、内容証明による督促に対する反応はどうだったか、実際に訴訟に踏み切るかどうか、などについて随時、管理会社に報告をくれます。「連絡が完全につながらず、もうダメそう」あるいは「状況証拠からおそらく夜逃げだと思われる」となると部屋の明け渡し訴訟に移行することになり、その際には再度、委任状が必要になるケースもあります。

 

なお、本気で訴訟が始まるとなると事前に内容証明郵便で通知されるため、それを見た入居者も支払いをなんとか頑張ってくれるというケースも多いです。実際に強制執行まで至るケースはまれです。当社でも年間5件を超えたことはありません。家主の目線からすると立替で賃料の受け取りは滞らないことが多いため、一見するとトラブルとは思えにくいところですが、水面下では滞納の支払いを巡りいろいろな動きがあるわけです。

入居者から連絡があるケース

入居者さんからの連絡は非常に多岐にわたるため、ここでは過去に実際に発生したトラブル、あるいはよくある事象を抜粋してご紹介します。

 

●騒音トラブル(コロナを契機に特に増加)

●トイレの逆流(下水詰まり)

●階下漏水

●駐車場、駐輪場へのイタズラ

●粗大ごみの不法投棄

●賃料の値下げ交渉

 

これらはある程度、決まった内容のため、当社には対応フローがあり、発生時にも比較的粛々と対応を行っています。

 

しかしながら、これは私にも気持ちがよく分かるところですが、水関係のトラブルの場合は被害者側の怒りが極めて高い位置にあることが多いため、それは当社としても寄り添いながら全力で対応を行います。

 

当社の管理の現場の声としては、やはりモラルクレーム系、気持ちの面でのトラブルは複雑化しやすいということ、また水回りのトラブルは重大化しやすいため緊張する、ということでした。

 

あとは複数の部屋を確認しないといけない階下漏水などは、対応者含めて全員の日程を擦り合わせる必要があるため、そこが折り合わず止まってしまうとしんどい、という声もあります。

 

私自身も時折、管理業務の現場に向かうことがありますが、基本的にトラブル発生時は初動の速さが何より重要なので、当社ではそれを徹底して行うようにしています。ただし、人的資源や予算にも限界があるため、定期清掃などと組み合わせられるものはそのタイミングで行ったり、といった具合に案件の軽重は見極めさせてもらっています。

 

なお、当社が直面した問題の中で特に重篤だったのは次のようなケースです。

 

●賃貸借契約終了後の部屋に、元契約者の元交際相手がその娘と居座ったために部屋が明け渡されず、結果的に当社社員が警察と一緒に現地訪問し、退去を促した

 

●周囲3部屋が出ていくほど近隣トラブルを起こす問題入居者を注意しに当社社員が訪問した際、顔前2cmのところまで顔を近づけてきてすごまれたうえ、周囲の壁などを殴る、大声を出すなどの方法で長時間の威圧を繰り返された

 

●突風でアパートの屋根が吹き飛んだ

 

●落雷でアパートの屋根に大穴が空いた

 

●オーナーさんの管理を受託した際、大型物件の駐車場160台分について誰がどこを使用しているのかが分からず、全世帯にヒアリングをして回り、配車図を新たに作成した

 

いくつかのトラブルについては実際の写真をご用意しておりますのでご覧ください(【⇒写真を見る:屋根が大規模に損壊した物件】)。これらの問題はすでにすべて解決済みではありますが、いざ自分事としてこの当事者になる可能性は大家業としてあり得る、ということだけご紹介させていただきます。

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※本連載は、穴澤勇人氏の著書『融資上限は怖くない!税制と収益不動産をフル活用した資産形成』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

融資上限は怖くない!税制と収益不動産をフル活用した資産形成 アパートを「毎年」「現金」で買えるようになる!

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穴澤 勇人

幻冬舎メディアコンサルティング

不動産投資で資産を拡大するためには、まずどの程度リスクを取り、どれだけのリターンを得るかといった目標を設定したうえで、どのような物件を購入するか決定することが重要です。 そして減価償却や税制を理解し、安定した…

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