(※写真はイメージです/PIXTA)

株価が暴落しています。近年投資家デビューを果たしたばかりの初心者の方は、急降下する価格を見て恐ろしくなり、すぐにでも手持ちの株を手放したくなるかもしれません。いや、まさにいま手放そうとしているかもしれません。しかし、どうか慌てず踏みとどまりましょう。「狼狽売り」することで、あとから大きな後悔をする可能性は高いのです。経済評論家の塚崎公義氏が、投資初心者向けに狼狽売りの危険性について解説します。

多くの機関投資家は「損切り」をルール化している

多くの機関投資家は、担当者に損切りのルールを課しています。「損失が一定以上に膨らんだ担当者は、持っている株をすべて売って、休暇を取って頭を冷やせ」というルールです。

 

無限に損失が拡大するリスクを避けるという意味合いと、担当者が損失拡大によって頭に血が昇って判断を誤る可能性が高いから、という意味合いがあるようですが、それにしても担当者は悔しいでしょうね。

 

値下がりしたので買い増しをして一気に大儲けを狙いたいのに、売りを強要されるわけですから。

投資初心者、動揺して「狼狽売り」する人が続出

株価が暴落し、それが「売りたくない売り」を誘発して株価の下げが止まらなくなると、投資初心者が動揺して狼狽売りをするようになります。損失が膨らんで冷静さを失い、「この世の終わり」が来そうな気がして、とにかく株式市場から逃げ出したくなるというわけです。

 

「株価が暴落したので絶好の買い場が来た」と思って買ったら、さらに株価が値下がりしたので、パニックになって投げ売りをした、という人もいるでしょう。場合によっては、「これ以上の損失には耐えられない」と考えて逃げ出す人もいるでしょう。

 

こうした初心者の狼狽売りも、暴落した株価をさらに押し下げる力として働きます。相場感とは無関係な売りが相場を崩すという意味では「売りたくない売り」と同様の効果をもたらすわけです。

投機家は「あらかじめ売っておく」かも…

こうして、暴落がさらなる暴落を招くメカニズムが存在することを知っている投機家たちは、最初の暴落を見て売っておくかもしれません。さらに暴落したときに買い戻せばいいからです。

 

持っている株を売るだけではなく、株券を借りて来て売ってしまい、値下がりしたところで買い戻して株券を返済する、ということもするでしょう。先物を売る場合もあるでしょう。

 

暴落したときに、さらに値下がりする力が働くことは間違いありませんが、それよりも「いまの株価なら割安だから買おう」という買い注文の方が多くなって株価がすぐに戻る場合もあるわけですから、これはまさに「投機」ですね。

初心者が狼狽売りすると、しばしば株価は底を打ち…

株価が暴落し、投機家が売り、売りたくない売りが出て、初心者が狼狽売りをすると、株価が底を打ってスルスルを戻っていく場合が少なくありません。

 

売るべき人がすべて売り終わり、売り注文がなくなったのを見届けてから投機家が買い戻しを始めるからです。休暇から戻った機関投資家の担当者も、冷静な頭で割安な株を買うでしょう。株価が戻れば銀行も借金をして株を買う人への融資を再開するかもしれません。

 

結局、初心者が底値で投げ売りして終わる、というわけですね。プロと勝負しているわけですから、仕方のない面はありますが、それを避けるために、筆者としては「初心者は自分で判断すると間違えるから、投信の積立投資をしましょう」といっているわけです。

 

残念なのは、せっかく投信の積立投資をしているのに、株価が暴落したのを見て怖くなって積み立てをやめてしまったり、せっかく積み立てた投信を売ってしまったりする初心者がいることです。自分で判断しないための積立投資なのに、自分で積み立てを止める等の判断をしてしまうのは、もったいないですね。

とにかく冷静に…見つめるべきは「長期的な動き」

株価暴落の時に初心者にまずいいたいのは「冷静になりましょう」ということです。冷静に考えたうえで、なおかつ売るべきだと判断するならば、それは売るべきです。「損切り」ですね。機関投資家の損切りとは違う意味での損切りですが、これについては別の機会に論じましょう。

 

まずは、株価の長期的な動きをチェックしましょう。過去に何度も株価は暴落し、戻りました。それを知るだけで、大いに気が休まるのではないでしょうか。

 

ただ、個別株の暴落の場合には戻らない可能性も大きいので、平均株価の暴落とは区別して考える必要があります。「この世の終わり」は滅多に来ませんが、「銘柄の終わり」は過去にも頻繁に起きていますから。

 

今回は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織等々の見解ではありません。また、当然のことですが、投資は自己責任でお願いします。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「幻冬舎ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「幻冬舎ゴールドオンライン」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

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