米ハイテク株の調整について (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●世界的に株価の不安定な動きが続くなか、米ハイテク株が調整色を強めGAFAM株も大幅下落。

●米金融引き締めへの警戒から一極集中投資が進んだGAFAM株が崩れ米国株全体に波及した。

●GAFAM株の調整は、投資の偏りを是正する健全な動きであり、成長性を否定するものではない。

世界的に株価の不安定な動きが続くなか、米ハイテク株が調整色を強めGAFAM株も大幅下落

このところ、世界の株式市場は不安定な動きが続いており、特に米ハイテク株の下げが目立っています。米ハイテク企業の代表格であるGAFAM(グーグルの持ち株会社アルファベット、アップル、メタの旧社名フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト)の株価動向をみると、直近高値から大幅に下落しており、メタとアマゾン・ドット・コムの下落率は20%を超えています(図表1)。

 

(注)PERは今期予想利益ベースで2022年1月25日時点。  (出所)Bloomberg、Datastreamのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]GAFAM株の動きとPER (注)PERは今期予想利益ベースで2022年1月25日時点。
(出所)Bloomberg、Datastreamのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

GAFAMはここ数年、米国株のけん引役となってきましたが、これはGAFAMの高い人気によるところが大きかったと思われます。しかしながら、投資マネーがGAFAMに極端に集中した結果、この5社の時価総額合計は、2021年12月末時点で、S&P500種株価指数の時価総額の約24%を占め(図表2)、東証1部上場企業(2021年12月末時点で2,182社)の時価総額合計の約1.5倍に達しています。

 

(注)データは2016年7月から2021年12月。月末時点におけるS&P500種株価指数の時価総額に占めるGAFAMの時価総額の割合。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]GAFAMの時価総額の割合 (注)データは2016年7月から2021年12月。月末時点におけるS&P500種株価指数の時価総額に占めるGAFAMの時価総額の割合。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

米金融引き締めへの警戒から一極集中投資が進んだGAFAM株が崩れ米国株全体に波及した

このような状況下では、GAFAM株が調整局面を迎えた場合、米国株が全体として調整色を強めてしまう恐れがあることは、2021年7月30日付レポート『米ハイテク大手の株価調整のリスクシナリオとは?』で指摘した通りです。同レポートでは、GAFAM株の調整入りにつながるリスクシナリオをいくつか想定し、株価への影響を検証しました。この時、リスクシナリオの1つとして挙げたのが「米金融環境が極端に引き締まるケース」です。

 

具体的には、米景気回復の度合いが予想外に強くなり、かつ、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐケースです。急速な引き締めにはFRBによる保有国債の売却が有効ですが、当時はFRBがそこまで踏み込むことはないとみていました。その後、物価の高止まりを受けてFRBがタカ派に転じ、市場で国債売却の思惑が浮上すると、GAFAM株は金融環境が引き締まる前に、一気に調整色を強めました。

GAFAM株の調整は、投資の偏りを是正する健全な動きであり、成長性を否定するものではない

前述の通り、GAFAM5社の時価総額は、偏った投資状況を示唆しています。そのため、足元の株価調整は、むしろ健全な動きであり、GAFAMの成長性を否定するものではありません。むしろ、このまま偏った状況が続き、偏りの度合いが増す方が、後々の調整は深刻になる恐れがあります。なお、GAFAMの予想株価収益率(PER)は、4社が20倍台に落ち着いてきており(図表1)、今後の決算次第では、買い戻しの動きも予想されます。

 

また、2021年7月6日付レポート『米国株の注意点と事前に備えておきたいことについて』では、GAFAM株の調整リスクに対する備えを解説しました。ポイントは、リスクを取りすぎていないか、投資先が偏っていないかを事前に確認することであり、適切なポートフォリオの構築も大切と説明しました。これらの備えによって、相場環境の急変時にも、落ち着いた行動ができると考えています。

 

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米ハイテク株の調整について』を参照)。

 

(2022年1月26日)

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

投資情報グループは、運用や調査経験豊富なプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの情報発信を行っています。幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、年間で約800本の金融市場・経済レポートの発行の他、YouTube等の動画、Twitterでの情報発信を行っています。

著者紹介

連載【市川雅浩・チーフマーケットストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
TOPへ