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結果の概要:失業率の低下が続く
1月18日、英国国家統計局(ONS)は雇用関連統計を公表し、結果は以下の通りとなった。
【12月】
・失業保険申請件数※1は前月(192.44万件)から4.33万件減の188.11万件となった(図表1)。
・申請件数の雇用者数に対する割合は4.7%となり、前月(同4.8%)から低下した。
・給与所得者数※2は前月(2928.4万人)から18.4万人増の2946.8万人となった。増減数は前月(+16.2万人)から増加、市場予想3(+13.0万人)を上回った。
※1 求職者手当(JSA:Jobseekerʼs Allowance)、国民保険給付(National Insurance credits)を受けている者に加えて、主に失業理由でユニバーサルクレジット(UC)を受給している者の推計数の合算。なお、UCはJSAより幅広い求職手当てであり、失業者数を示す統計としては過大評価している可能性がある。このため、ONSは失業保険等申請件数について公式統計とはしておらず実験統計という位置付けで公表している。ただし、公表日の前月のデータを入手できるため、速報性の高さという利点がある。
※2 歳入関税庁(HRMC)の源泉徴収情報を利用した統計。直近データは利用可能な情報の85%ほどを集計して算出。
※3 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
【11月(9~11月の3か月平均)】
・失業率は4.1%で前月(4.2%)から低下、市場予想(4.1%)を下回った(図表1)。
・就業者は3247.5万人で3か月前の3241.6万人から6.0万人の増加となった。増減数は前月(+14.9万人)から減少、市場予想(+12.5万人)を下回った。
・週平均賃金は、前年同期比4.2%で前月(4.9%)から減速、市場予想(4.2%)と一致した(図表2)。
結果の詳細:11月の就業者数や労働時間は横ばい圏での推移、休業者はわずかに増加
まず、12月のデータとして公表されている求人数および給与所得者数を確認すると、求人数は21年10~12月の平均で124.7万件となり6か月連続で調査開始後の最高記録を更新した(図表4)。ただし、12月単月では117.8万件と10月(130.2万件)をピークに2か月連続で減少した※。
給与所得者データでは、給与所得者数の増加が続いている(図表4)。産業別には、最近増加傾向にある事務サービスや居住・飲食業のほかに、12月は建設業の増加が目立った。月あたり給与額(中央値)については前年同月比5.3%で11月(5.6%)からは減速したが、引き続き高めの伸び率を維持している(図表4・5)。
次に11月までのデータ(労働力調査)を確認すると、9~11月期の失業率は4.1%まで低下した(前掲図表1)。前月比で見ると、失業者が減少する一方で、就業者も減少し非労働力が増加している。
その結果、労働参加率も63.2%と前月から0.1%ポイント低下している。コロナ禍前(19年12月~20年2月)と比較すると、失業者は1.8万人多い状況でほぼコロナ禍前の水準になる一方で、就業者は59.8万人少なく、非労働力人口が70.0万人多い。
労働時間は31.4時間(前年同期差+1.4時間)、フルタイム労働者で35.8時間(同+1.1時間)となり、横ばい圏での推移が続いている(前掲図表2)。
就業者や労働時間については、目立った回復が見られない状況と言える。9-11月の平均賃金は前年同期比4.2%(実質は0.4%)とベース効果の剥落に伴い減速傾向にある。
コロナ禍の影響を除くために2年前比で見ると、インフレ率の高さを反映して名目値が加速、実質値が減速傾向にあり乖離が広がっている(図表5)。
最後に週次データを確認すると(図表6)、11月の休業者がやや増加傾向にある。10月の休業者は横ばいだったが、政府の雇用維持政策が9月末で終了しているため、今後の動向が注目される。
4単月データは未季節調整値であり、例年10月は求人が多い季節性がある点に留意。なお、3か月平均のデータは季節調整値。
高山 武士
ニッセイ基礎研究所
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