●前年度の反動という面もあるが、企業自身は製造業・非製造業ともに、今年度増収増益を予想。
●弊社も今年度は増収増益を予想、増益の寄与の大きいセクターは商社、運輸、自動車、鉄など。
●来年度も勢いは落ち着くものの増収増益予想、業績の回復傾向が続き日本株の下支えになろう。
前年度の反動という面もあるが、企業自身は製造業・非製造業ともに、今年度増収増益を予想
今回のレポートでは、日本企業の2021年度と2022年度の業績を展望します。はじめに、企業自身による2021年度の業績予想を確認します。東証株価指数(TOPIX)を構成する3月期決算企業(金融とソフトバンクグループを除く)について、入手できるデータに基づき集計したところ、前年度比で売上高は7.8%増、営業利益は35.1%増、経常利益は36.1%増、純利益は64.4%増でした(2021年11月16日時点)。
製造業・非製造業に分けてみると、製造業は売上高12.1%増、営業利益41.3%増、経常利益35.3%増、純利益52.8%増となっており、非製造業は売上高1.5%増、営業利益25.4%増、経常利益37.7%増、純利益84.3%増となっています(いずれも前年度比)。コロナの影響で業績が低迷した前年度の反動という面もありますが、今年度は増収増益での着地予想が示されています。
弊社も今年度は増収増益を予想、増益の寄与の大きいセクターは商社、運輸、自動車、鉄など
次に、弊社が調査対象とする主要企業500社について、金融とソフトバンクグループを除く451社の業績見通しを確認すると、2021年度は売上高14.7%増、営業利益75.6%増、経常利益56.3%増、純利益80.7%増となっています(図表)。製造業・非製造業の区分では、製造業が順に、14.9%増、57.9%増、50.5%増、66.4%増で、非製造業は14.5%増、112.4%増、68.2%増、116.2%増です(いずれも前年度比、2021年12月6日時点)。
前述の、企業自身による2021年度の業績予想と比べた場合、対象企業数などが異なるため、予想値は必ずしも一致しませんが、弊社もコロナの反動などで今年度は増収増益の着地を想定しており、方向性は同じです。また、弊社の2021年度の業績見通しにおいて、増益寄与の大きいセクターは、商社、運輸(倉庫・物流)、自動車、鉄、陸上旅客運輸などです(セクターは弊社の定義による)。
来年度も勢いは落ち着くものの増収増益予想、業績の回復傾向が続き日本株の下支えになろう
また、弊社は2022年度の業績について、売上高5.2%増、営業利益13.0%増、経常利益10.5%増、純利益8.1%増を見込んでいます。製造業・非製造業の区分では、製造業が順に、5.8%増、11.9%増、11.1%増、8.5%増で、非製造業は4.2%増、14.7%増、9.2%増、7.2%増です(いずれも前年度比、2021年12月6日時点)。2021年度に比べ、回復の勢いは落ち着くものの、引き続き増収増益を予想しています。
2022年度の業績見通しにおいて、増益寄与の大きいセクターは、自動車、陸上旅客運輸、自動車部品・ゴム、電力・ガス、産業用電機機器、医薬などです。なお、2021年度以降の前提為替レートは、ドル円が1ドル=114円、ユーロ円が1ユーロ=133円です。弊社は、2022年度も企業業績の回復傾向は続くとみており、これが日本株の下支えになると考えています。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年度と2022年度の日本企業の業績見通し』を参照)。
(2022年1月5日)
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト