贈与税と相続税の一体化が噂される2022年度の税制改正大綱。しかし、富裕層への課税強化が推し進められようとしている兆候は、そればかりではありません。専門家の目から詳しく読み解いていきます。弁護士法人菰田総合法律事務所の菰田泰隆弁護士・税理士、税理士法人アイユーコンサルティングの七島悠介税理士が事例をもとに解説します。
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生前贈与封じか!?業界を震撼させた「ある文言」
相続税は累進課税制度が採用されていることから、財産が多い家庭ほど高い相続税が課税されます。そのため、生前贈与は課税対象となる財産の絶対量を減らす対策として、効果的に活用されてきました。いわば、富裕層の「相続税対策の王道」として用いられてきた手法です。
この生前贈与が「今後封じられるのでは?」と、まことしやかに噂されるようになったのは、令和2年12月に公表された、令和3年度税制改正大綱に以下のような文言が織り込まれたことによります。
「相続税と贈与税をより一体的にとらえて課税する観点から、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。」
今後どのような課税方式を検討しているかは現時点では不明ですが、こちらの文言からは贈与を廃止、または縮小し、相続時に足し戻して相続税を計算する、といったように捉えられます。
この文言は富裕層及び富裕層を顧客としている金融機関、保険会社、不動産会社等に衝撃を与えました。
巷間の相続セミナーや雑誌等のメディアにおいて「暦年贈与ができるのは2021年まで。2022年以降はできなくなる」とまで言い切った専門家もいたほどです。
本記事執筆現在(令和3年12月27日)においては、令和4年度税制改正大綱が公表され、上記の相続・贈与一体課税に向けての具体的な記載はなかったものの、令和3年度税制改正大綱と同様の記載がありました。
具体的な改正時期は未定ではあるものの、近い将来その方向に舵を切る可能性は限りなく高いと考えられます。
今回の相続・贈与の一体課税のみならず、近年では富裕層の資産が狙われていると思われる傾向・税制改正があります。
ここではその内容を解説していきます。
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弁護士法人Nexill&Partners
代表弁護士・社労士・税理士・行政書士
2012年弁護士登録、2013年1月 弁護士法人菰田法律事務所開業。
2016年に社労士登録、税理士登録。その後、自身を代表として社労士法人、税理士法人を設立。
グループ内に弁護士・社労士・税理士・司法書士・行政書士を有する法律事務所として、複数士業が融合したワンストップサービスを強みとし、中小企業支援・相続を事務所の2本の柱とする。
2024年10月、弁護士法人Nexill&Partnersに名称変更。
中小企業支援では法務・労務・税務顧問に加えてスタートアップ支援からIPO、DD、M&Aのコンサルティングまで、相続分野では遺産分割、相続税、登記といった相続発生後の手続きから生前の相続対策コンサルまで、いずれも包括的にサポート。
「士業=サービス業」という考えのもと、顧客満足度を大切にし、総合リーガルファームとして既存の士業の業務枠にとらわれない新たな試みを打ち出し、クライアントニーズの実現を行っている。
Nexill&Partners Group総合サイト
https://nexillpartners.jp/law/
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連載相続に強い弁護士&税理士が伝授!富裕層の資産防衛の秘策
七島悠介税理士事務所
税理士・事業承継アドバイザー
2010年、国内大手税理士法人に入社。
上場会社の税務申告、相続税申告、組織再編コンサルティング、富裕層向けコンサルティングなどの多分野の業務を経験する。
2015年、税理士法人アイユーコンサルティングの社員税理士に就任。
営業統括、広島事務所長などを歴任し、税務顧問、相続税申告、相続対策、事業承継コンサルティング、組織再編コンサルティングなど相続事業承継案件を累計300件超手掛ける。
その傍ら、全国で税理士・金融機関・保険会社・不動産会社向けの相続・事業承継セミナー、勉強会の講師を多数務め、新規顧客開拓、営業拠点開拓などを担当し、日本でも有数の資産税専門税理士法人への成長に貢献する。
2022年7月『お客様にとって、唯一無二の存在となり、唯一無二の価値を提供する』を理念に、七島悠介税理士事務所を開業。
1人でも多くの方々の資産承継、事業承継問題を解決するために、相続・承継のスペシャリストとして活躍中。
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