(※写真はイメージです/PIXTA)

政府の動向を見れば、富裕層への課税がますます厳しくなっているのは明確です。このまま対策を取らず、現状を傍観していては、次世代への資産承継は非常に厳しいものとなるでしょう。では、どのような方法があるのでしょうか。専門家の目から読み解いていきます。弁護士法人菰田総合法律事務所の菰田泰隆弁護士・税理士、税理士法人アイユーコンサルティングの七島悠介税理士が事例をもとに解説します。

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相続対策に不可欠な「4つの柱」とは?

前回執筆した記事『いよいよ「富裕層締め上げ」に本腰か…伏線がちりばめられた税制改正大綱を読む』の通り、富裕層に対しての課税は強化の一途をたどっています。このような状況下、富裕層が資産防衛を実現するには、一体どのような対策をすべきなのでしょうか。

 

資産を適切に防衛するためには、筆者はまず「財産や家族構成をもとに、現状をきちんと分析する」ことが第一だと考えています。この当たり前の現状分析こそ、資産防衛の第一歩なのです。

 

現状分析は、以下のステップに基づき行います。

 

ステップ1:相続財産が何かを把握する

 

ステップ2:その相続財産をもとに評価額及び相続税額を算出する。

 

ステップ3:自身が考える財産の承継の想いをもとに各人いくらの財産を取得し、相続税をいくら支払う必要があるのかを算出する。

 

現状分析を行うことで、相続が発生した際になにが問題となるのか、現時点ではどこの対策が足りていないのかを知ることができます。

 

相続対策の柱は以下の4つです。

 

①納税財源確保対策

相続税の納税資金が確保できているか、また不足する場合の確保方法を検討する対策をいいます。財産のうち、不動産や自社株式の占める割合が高い方は特に重要な対策となります。生前に相続税の試算を行い、不足するようであれば生前に不動産の売却、生命保険の活用などを検討します。

 

②財産移転対策

少ない税負担で、次世代、次々世代に財産を移転させる対策をいいます。相続対策の王道である生前贈与の活用や、相続・贈与・譲渡、いずれの手法で移転するのがベストか、様々な比較検討を行い、ご自身の財産を無駄なく承継する方法をご提案します。

 

③遺産分割対策

相続が発生した際に争いの相続とならないために、生前に遺産の分割方針を検討・決定する対策をいいます。相続が発生すると相続人たちは自らで話し合って財産の分け方を決定する必要があります。しかし、その話し合いの場ではお互いの感情がぶつかり合い、話し合いがまとまらない、といったことは少なくはありません。相続人が揉めないように生前に遺言や家族信託などで財産の道筋を立てる手法を実行します。

 

④評価引き下げ対策

財産の本質的な価値を下げることなく、相続税評価額を引き下げる対策をいいます。自社株式の評価を引き下げる手法や、財産の組み換え、不動産の有効活用などにより、将来の相続税を引き下げる対策を行います。

 

資産防衛というと、いかに税金を節税するかが頭に浮かぶかもしれませんが、これら4つの視点を意識し、対策を練っていくことが何よりも大切だと考えられます。

 

 

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