「4つのプラン」とは?そして経営者が選んだのは…
①業務の変化に対応できる柔軟性を重視したプラン
②コスト(床面積あたりの単価)を重視したプラン
③コスト(総額)を重視したプラン
④業務改善を重視したプラン
このうちB社が選んだのは最終的に④の「業務改善を重視したプラン」だった。
さらに当社からは自動倉庫(※)の導入を提案した。話を聞くなかでB社が以前、自動倉庫化を検討していたものの、コストや故障、商品の破損への不安から断念していたことも分かってはいたが、あらためて当社から新たな自動倉庫の導入プランを提案することにした。
設計段階で提案したのは、倉庫の壁沿いに自動倉庫を設置し、3階まで届くようにすることで、自動倉庫を物の上下階移動に活用するというプランである。さらに取り扱う頻度によって商品の置き場所やピックアップ方法を変え、搬出入時の無駄を省くような設計を目指した。
また、自動化することによる設備の不具合や停止への不安は、通常1基で運用するクレーンを2基とすること、非常用電源を設置することでカバーするようにした。
完成した新しい倉庫兼物流センターは、自動倉庫化とそれに伴う業務改善によって大幅な効率化と生産性の向上を実現している([図表]参照)。
自動倉庫に対するネガティブな固定観念に固執せず、提案を素直に受け入れたケースだが、B社だけでなく委託先であるZ社にとっても委託コストの低減化というメリットが生まれ、両者の関係はさらに良好になり、よりいっそう信頼を深める結果となった。
※ 自動倉庫…品物を収納することや取り出すことが自動化された倉庫。自動倉庫のメリットは、省力化による人件費の削減と収納効率(空間利用率)の向上にある。初期導入費用と省力化によるコストメリットを比較衡量して決定されることが多い。停電や故障が生じると入出荷がまったくできなくなるというリスクを嫌って敬遠されるケースもある。
森本 尚孝
三和建設株式会社 代表取締役社長