【関連記事】年収500万円だったが…14万円の年金生活におびえる人、続出
「テーマ型」は長期投資で活用できる?
ピーク時、次々に新商品が誕生するが…
投資信託には、いろいろな種類があります。そのなかで、世の中の流行や興味関心に合わせて、特定の企業や業界に投資する商品を「テーマ型」といいます。
テーマ型の投資信託の「テーマ」は、時代とともに移り変わります。例えば1990年代後半ならITやインターネット関連、2000年代ならBRICs(ブリックス:ブラジル・ロシア・インド・中国)や再生エネルギー関連、2010年代はクラウドやAI関連といった具合です。そして、これからも市場の話題に合わせて新しいテーマ型投資信託が生まれるでしょう。
しかし、テーマ型の投資信託の未来はあまり明るくありません。なぜなら、市場で注目されるテーマには旬があるからです。旬を過ぎてしまうと、そのテーマの投資信託への注目度も下がり、資金流入が減ってしまいます。すると、純資産総額も小さくなり、運用が続けられなくなり、しまいには途中で運用が終了(繰上償還:くりあげしょうかん)してしまう可能性もあるのです。
テーマ型の投資信託が新規設定され、販売されるときには、すでに相場のピークになっていることが多くあります。テーマがいちばん盛り上がっているときにそのテーマの投資信託を買っても、そのあとの値上がりの余地は大きくありません。むしろ、しばらくしてから価格が徐々に下落し、その後は値上がりが期待できない、という状態に陥る可能性があります。
例えば「シェールガス」をご存じですか。シェールガスは、地中深くにある頁けつ岩がんという層から取れる天然ガスです。これを取り出す技術が確立したことから、2000年代後半から2010年代前半にかけて米国で生産が本格化。「シェール革命」と呼ばれて話題になりました。シェールガスがテーマの投資信託も新たに複数誕生したのです。
しかし、2014年ごろから原油価格の急落などによりシェールガス関連企業に逆風が吹き始めると、テーマ型投資信託の価格も下落しました。
そのうえ、テーマ型の投資信託はほぼアクティブ運用をしているため、手数料が高いのも欠点です。手数料が高いということは、金融機関が儲かる商品ということ。勧誘には注意が必要です。
杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>
テーマに魅力を感じるなら、個別株式投資も選択肢に
もっとも、魅力的なテーマに投資したい気持ちは理解できます。近年なら「5G」関連企業や「ESG」(環境・社会・ガバナンス)を重視する会社が注目されています。しかし、そうしたテーマを扱う会社に投資したいのであれば、個別の株式投資でもいいでしょう。
どうしてもテーマ型に投資したいのであれば、例えば「AI」のように、幅広い業種で活用されるテーマならばまだ息が長いと考えられます。テーマ型の投資信託を買うなら「短期投資で」と割り切って取り組むことをおすすめします。
テーマ型は旬が過ぎるのが早く、手数料も高め。長期投資には向かない!
頼藤 太希
株式会社 Money & You 代表取締役
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】