●2022年の株式市場を取り巻く環境はまずまず良好と考えられ、日本株は上昇基調を維持しよう。
●2022年末時点の水準について、TOPIXは2,230ポイント、日経平均株価は32,000円を予想。
●国内で参院選後の財政再建姿勢に要注意、2022年も流動性相場が続き株価を支える見通し。
2022年の株式市場を取り巻く環境はまずまず良好と考えられ、日本株は上昇基調を維持しよう
2022年の株式市場を取り巻く環境は、いくつかの懸念材料はあるものの、まずまず良好と考えられ、日本株は上昇基調を維持すると予想します。懸念材料の具体例としては、①新型コロナウイルスの新たな変異型である「オミクロン型」の感染動向、②世界的な供給制約の問題、③米国などにおける物価の高止まり、④米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策の正常化、が挙げられます。
弊社は、これら4つの懸念材料について、①は感染拡大が見込まれるものの、重症化が抑制され影響は限定的となり、②は2022年半ばにかけて正常化に向かい、③は2022年後半には落ち着く見通しで、④は米景気腰折れとなるような利上げペースは回避されるとみています。つまり、いずれの懸念材料も、株式市場を大きく混乱させる恐れは小さいと考えています。
2022年末時点の水準について、TOPIXは2,230ポイント、日経平均株価は32,000円を予想
2022年の東証株価指数(TOPIX)および日経平均株価の見通しは、それぞれ図表1、図表2の通りです。前述の4つの懸念材料に対する警戒は次第に後退し、底堅い業績が一定程度、株価を支える展開を見込んでいます。参考までに、弊社が調査対象とする主要企業452社について、2022年の業績予想は、前年比で売上高が5.1%増、営業利益は11.7%増、経常利益は9.3%増、純利益は7.5%増となっています(12月6日時点)。
2022年12月末時点のTOPIXは、予想1株あたり利益(EPS)を159.2円、株価収益率(PER)を14倍と想定し、2,230ポイントに設定しました。TOPIXの予想EPSは、足元から10%程度、上昇した水準となっています。一方、日経平均株価は、NT倍率(日経平均株価をTOPIXで割って算出した数値)を14.3倍と想定し、2022年12月末の着地を32,000円に設定しました。
国内で参院選後の財政再建姿勢に要注意、2022年も流動性相場が続き株価を支える見通し
なお、国内では2022年夏に参院選が行われます。そのため、参院選前に国内でコロナの感染が拡大しても、岸田政権が経済対策第二弾を打ち出すなどの措置を講じれば、日本株への影響は限定される可能性が高いと思われます。一方、参院選で与党が勝利し、その後の国内景気が安定すれば、財政再建の姿勢が強まることも予想され、市場が警戒する金融所得課税の見直しなどに関する岸田首相の発言には、注意が必要です。
最後に、流動性相場の行方について、考え方を整理しておきます。2022年は主要国の中央銀行がコロナ禍で導入した緩和策を段階的に縮小する動きが予想されます。そのため、市場では流動性相場の終了を心配する声も聞かれます。ただ、量的緩和などによって供給した流動性を回収するには、非常に長い期間を要します。したがって、2022年も流動性相場は存続し、株価を支える1つの要因になるとみています。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年の日本株見通し』を参照)。
(2021年12月20日)
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト