写真提供:伊藤朱子アトリエ

日本の住宅は、省エネ基準が不十分なこと等により、他の先進国と比べて「驚くほど寒く」なっていることをご存じでしょうか。ここでは、日本の住まいにおける「ヒートショック」の実態や、「住まいと健康の深い関係」について、住まいるサポート株式会社代表取締役の高橋彰氏が解説していきます。

温暖な県ほど「ヒートショック発生率」が高い背景

さらに、兵庫県や和歌山県、愛媛県といった比較的温暖なイメージのある県が上位に並んでいます。温暖な地域の住宅は、断熱性能を重視していないことが多く、冬の家の中の室温差が大きいためであると考えられます。

 

一方、発生率が低い都道府県には、沖縄県は別格として、北海道、青森県が名前を連ねています。これらの寒冷地では高気密・高断熱住宅が普及しており、家の中の室温差が小さいため、ヒートショックリスクが低いのだと言われています。

 

◇魔法瓶のように住宅の断熱性能を高めればヒートショックは起こらない

 

欧米では、断熱・気密性能を高めて、熱を大切に使っています。ドイツでは、断熱材の厚さは30cmくらいが一般的です([図表8])。

 

[図表8]ドイツと日本の一般的な断熱材の厚さ

 

日本の5~10cm程度の断熱材の厚さとは、大きな違いです。

 

断熱をキチンとすると、家全体が魔法瓶のようになり、家の中の室温差がなくなります。家全体を暖かくして、均質な温度を保てるのです。

 

日本のプアな断熱性能で、家全体を均質に暖かくしようとすると、暖房費が莫大になってしまいます。そのため、日本では、人がいるときに人がいるところだけを冷暖房する部分間欠冷暖房が一般的なのです。

 

これから住まいづくりを考えている方は、十分な断熱・気密性能を確保して、家全体を健康・快適な環境に維持できる住まいをご検討いただきたいと思います。

 

 

高橋 彰

住まいるサポート株式会社 代表取締役

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