(※写真はイメージです/PIXTA)

いくら秀逸なネタだとしても、結婚式で別れのジョークはウケません。髪の毛を気にしている人にカツラの話をすると怒られます。適切なネタを、適切なタイミングで出すためにも、「あの人、ただのボケたがり」と思われないようにするためにも、自分の周囲の状況を客観的かつ俯瞰的に把握することが大事なのです。

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    「笑わせるチカラ」を身につけるための3ポイント

    私はお笑い芸人ではありませんので、ネタづくりのコツを話すことはできません。ただ、笑いが文化になっている大阪で育ち、笑いがなければ平和を保っていられなかった安積家で育った経験から、笑わせるチカラの重要性は身をもって理解しています。歯医者になるまでの過程でも笑わせるチカラが役に立ちましたし、今の日々の仕事でも笑わせるチカラがさまざまな場面で役立っています。

     

    そのような経験を踏まえて、ここでは「目標達成に活かす」「仕事に活きる」という観点から、笑わせるチカラの効能と身につけ方を紹介したいと思います。笑わせるチカラを身につけるうえで、重要なポイントは次の3つです。

    1.相手を喜ばせる

    「誰かを笑わせる」というと、爆笑をとるとか面白エピソードを披露するといったイメージをもつ人が多いかもしれません。

     

    しかし、目標達成のための笑わせるチカラでは、そこまで高度な笑いは不要です。相手が笑顔になれば十分ですし、笑顔になれば距離が縮まり、目標達成に力を貸してくれる味方になってくれます。そのために重要なのは、「面白いことを言おう」「面白い人と思われよう」などと気負わず、相手を喜ばせようと考えることです。相手が喜べば、自然と笑顔になります。

    2.オチを決める

    漫才は、オチが決まれば良い仕上がりになります。途中で少々つまずくことがあったとしても「終わりよければすべてよし」です。笑わせるチカラを身につける際も、オチを決めることが重要です。

     

    面白いと思う感性は人それぞれですので、まずは相手を観察して、どうすれば笑ってくれるかを探ります。相手の性格、心理状態、現状、興味があることなどを見つけながら、相手が笑う可能性が最も高いオチを考えて、そこに至るまでのシナリオを考えます。

     

    これは目標達成の道のりを考えることにもつながります。オチを目標達成という言葉に置き換えると、重要なのは目標を明確に決めることであり、そのための計画(シナリオ)を考えることだといえるからです。

    3.自信をもつ

    どんなに面白いネタでも、「ウケないかも…」と尻込みするとウケません。一方、ネタとしてはそこそこでも「どや、おもろいやろ」と堂々と披露すると、相手が勢いに押され、笑ってくれるものです。

     

    その差を生むのが自信です。自信は説得力です。自信が相手を動かします。最後にものをいうのは自信です。目標達成の勝負どころにおいても、「失敗するかも…」ではなく「できる」「できないはずがない」と思って挑むことが大事です。

    「面白がらせること」より「喜ばせること」が重要

    目標達成のために誰かを笑わせる場合、必ずしも自分が面白い人である必要はありませんし、面白いことを無理にひねり出して言う必要もありません。

     

    大切なのは、「相手を喜ばせる」ことです。相手が喜べば、自然と笑顔になってくれますし、笑ってくれます。つまり、自分本位ではなく相手が主役と考えることが大事です。

     

    歯科医院でのとある場面を例に挙げます。虫歯などが原因で歯科医院に来る人は、ほとんどの人がむっつりしています。理由は単純で、歯が痛みますし、治療のせいで時間が取られますし、歯医者は総じて無愛想ですし、要するに、楽しいことがないからです。治療に来た時点で泣いている子どももいます。歯科医院は怖いところで、歯の治療は痛いもの、というのが、歯医者に対する共通認識です。そういう患者さんにギャグを言っても絶対に笑いません。

     

    大人の患者さんは「ええから早よ治療してくれ」と思うでしょうし、子どもの患者さんは「なんやこのおっちゃんは…」と思うことでしょう。笑う気満々のお客さんが来る劇場などとは違い、歯科医院の患者さんは笑う気など毛頭なく、ギャグを受け入れる心理的な余裕もないのです。しかし、こういう厳しい状況でも、相手の雰囲気や気分に寄り添って、喜ばせることはできます。

     

    例えば、初診で来る患者さんには、「いきなりガリガリ削ることはありませんので心配しないでくださいね」と声を掛けてみたり、歯科治療に慣れていない子どもには、診察台に座れたときに「すごいなあ、大人の人みたいやなあ」と褒めてみたりといったように声を掛けるのです。

     

    たいしたことではありませんし、笑いをとるつもりもありません。しかし、相手は笑顔になります。笑ってくれます。相手の目線に立ち、相手がどうすれば喜ぶだろうかと考えることにより、歯科医院は大繁盛、とまではいきませんが、地域の人たちに「あそこの歯医者はチョット違うね」「次もあの先生に診てもらおうかな?」と思ってもらえるのです。

     

    安積 中

    あづみハッピー歯科医院院長

     

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    ※本連載は、安積中氏の著書『人生を切り開く笑いのチカラ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    人生を切り開く笑いのチカラ

    人生を切り開く笑いのチカラ

    安積 中

    幻冬舎メディアコンサルティング

    人生における失敗や挫折を「笑い」に転換するための思考法とは? 日本人の4人に1人は何かしらの不満を抱えています。 老後の未来には年金不安と健康不安が待ち受けており、それに加えて、昨今ではコロナ禍での鬱々とした…

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