前回は、私募ファンドと私募リートを比較し、それらのリスクについて説明しました。今回は、機関投資家が私募リートを選ぶ理由を説明します。

私募ファンド、Jリートは安定性に難あり!?

ここまで、私募リートと比較しながら、Jリート、私募ファンドの問題点やリスクなどについて言及してきました。

 

Jリート、私募ファンドのいずれも、小口化、証券化の手法を用いることにより少ない資金で不動産投資を行うことを可能にした投資商品です。不動産は株式や債券とは異なる値動きを示す傾向をもつことから、これらの商品をポートフォリオに組み入れることで分散投資の効果をより高められると、その登場時には多くの投資家の期待を集めました。

 

しかし、現実には、Jリートは株式と同様の値動きを示すことが多く、また私募ファンドは短期間の運用が前提となるため不動産市況の影響を大きく受けるおそれが強く、いずれも分散投資や長期投資の観点からは必ずしも適切な投資商品ではないことが明らかになっています。

長期間の投資を想定した私募リートの設計

それに対して、私募リートは上場されないため資本市場の影響を受けにくく、また運用期間が限定されておらず長期間の投資を予定した仕組みとなっています。つまり、Jリートや私募ファンドに見られるような投資の安定性を害する問題点が解消された商品設計となっています。

 

機関投資家のように多額の資金を運用する投資家にとっては、リスクを極力抑えて安定したリターンを得ることが何よりも大切となります。私募リートは、そうした機関投資家のニーズに最大限に応えられる投資商品であるといえるでしょう。

本連載は、2016年1月25日刊行の書籍『世界一わかりやすい私募REITの教科書』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

世界一わかりやすい私募REITの教科書

世界一わかりやすい私募REITの教科書

初村 美宏

幻冬舎メディアコンサルティング

取引所に上場せず、オープンエンドで運用される不動産投資ファンド「私募REIT」。 1990年代にアメリカで人気となり日本でも2001年から発売が開始、不動産投資市場でも急成長を遂げている人気の投資商品である。主な投資者は機…

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