仲睦まじい山下真理子氏とご家族。

いつまで続くのか分からず、「出口の見えないトンネルのなかにいるよう」ともいわれる不妊治療。女医の山下真理子氏も、そんな不妊治療で子供を授かったひとりだという。どのような問題に直面し、どう向き合ってきたのか、医師の立場から語ってもらう本連載。最終回は、一人目の不妊治療後に感じた思い、そして二人目不妊治療中の今考えることについて、原稿にしたためてもらった。

不妊治療をしない人生もあったかもしれない

不妊治療をしなかったら私は今ごろ何をしていただろうと考えることがある。

 

好きな仕事をして、夫と時々美味しいものを食べに行って、時々海外旅行に行って、好きな服を買って、ヒールを履いて出かけていただろう。今よりも仕事ではスキルアップして、今よりももっと責任ある仕事を任されて、自分自身のキャリアにおいても新しい展開を楽しんでいたかもしれない。海外で夫とのんびり暮らす生活……も、もしかしたらあったかもしれない。

 

不妊治療をして感じた挫折感を知ることもなく、今ほど自分の身体に危機感を感じることもなく、それはそれで、きっと幸せに暮らしていただろう。

前回よりも過酷かもしれないけれど…

それでも、不妊治療をしなければ、今目の前で寝ている息子には、会えなかった。

 

子供のいない人生も、素晴らしく幸せなものだと思う。けれども私は、息子に出逢えたことで、新しい「自分」を見つけられたし、強くなれた。息子のために変化することが怖くなくなった。

 

また、こんな「出逢い」があることを信じて、二人目の不妊治療に臨んでいる。

 

成功するかはわからない。健康な子供が生まれるとも限らない。妊娠生活は、前回よりもより過酷なものかもしれない。

 

それでも、チャレンジしたいと思っている。

乗り越えたからこそ

中には、たくさんの子供を成人まで育て上げた、子育て大ベテランの方もいらっしゃるだろうし、その方から見れば、私なんて、まだまだ半人前にもなれていないママだと思う。
私にとっての子育ては、この世に何かのご縁で生まれてきた「命」が、幸せな人生を送るためのお手伝いをすることだと思う。

 

私が親にそうしてきてもらったように、息子がこの世界で幸せになるためにできることを全部してあげたいなと思う。

 

それができることに、日々感謝しているし、あの不妊治療を乗り越えたからこその醍醐味だとも思っている。

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