(※写真はイメージです/PIXTA)

人気犬種ランキングで上位に位置するダックスフンド……飼っているとき注意したい疾患に「椎間板ヘルニア」があります。獣医師として数々の動物の命と向き合ってきた中村泰治氏が、「椎間板ヘルニア」のサインや特徴を解説するとともに、治療やリハビリの方法について専門家の見解を紹介します。

術後の機能回復にはリハビリテーションが効果的

手術をしたあと、運動機能を回復するためにはリハビリテーションが非常に効果的です。犬へのリハビリテーションは徐々に認知されつつあります。

 

リハビリテーションにはいくつかの方法がありますが、そのうちの一つに水中トレッドミルという装置を活用した水中療法があります。

 

トレッドミルとは、床にベルトコンベアの可動式の機械がついた装置で、人間のランニングマシンをイメージしてもらうとよいかもしれません。速度や水位を症状により設定し行うことができます。

 

水の中で行うことによって、浮力を利用して体重負荷を減らし、4本足での起立姿勢を取りやすくします。それにより関節を大きくゆっくり動かす運動ができるようになります。

 

水を使わずに陸上で行うリハビリテーションもあります。神経機能を回復させるために障害物を意識しながら行う歩行訓練、ほかにはピーナッツ型バランスボールやバランスディスクなどの道具を使った方法もあります。

 

道具を使ったリハビリテーションとしては、例えば次のようなものがあります。

 

・バランスディスクに前足を乗せて、重心を後ろに傾けることで、後足の筋力アップを促すトレーニング

・ピーナッツ型バランスボールに4本足すべてを乗せてバランスを取ることによって体幹などを鍛えるトレーニング

 

実際のリハビリテーションでは、可動域や筋肉量、太ももの太さなどを指標にしながら進めていきます。数値で評価することによって、飼い主にも効果を伝えやすくなるからです。

 

犬の性格によっては怖がってうまくリハビリテーションができないときがあります。そのようなときは犬の好物である「おやつ」や「おもちゃ」、「人間から褒めてもらう」などのご褒美を組み合わせてやる気を起こさせます。具体的には、ここまで歩いたらおもちゃで遊べる、人間に褒めてもらえるなどモチベーションを高める工夫が重要です。

 

また、一般的にリハビリテーションは手術後、適切な管理をしたうえで早期に始めることで効果が高くなると考えられています。担当獣医師と相談のうえで、リハビリテーションを希望する場合はできるだけ早期にスタートするとよいでしょう。

 

<リハビリテーション担当 動物看護師 矢ケ崎望さん>

 

 

中村 泰治

獣医師

 

 

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※本連載は、中村 泰治氏の著書『もしものためのペット専門医療』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

もしものためのペット専門医療

もしものためのペット専門医療

中村 泰治

幻冬舎メディアコンサルティング

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