脱臼の程度や症状の強さで分かれる「4つのグレード」
なお、膝蓋骨脱臼は症状や脱臼の程度によって、グレード1からグレード4まで分類されます。
グレード1:普段は膝蓋骨は正しい位置に収まっていて脱臼していないが、検査時に手で押すなどの負荷をかけると脱臼する。手を離すと脱臼は元に戻る。症状はほとんどないが、たまに膝蓋骨が外れたときに痛がったり足を上げる、スキップのような歩き方などをする。
グレード2:普段は膝蓋骨は正しい位置に収まっているが、足を曲げたときに脱臼することがある。脱臼した膝蓋骨を人の手で押したり、あるいは足をしっかり伸ばすと元に戻る。また、後ろ足を蹴って自分で脱臼を直そうとする様子を見せることもある。日常生活に大きな問題は生じないが、脱臼しているときは歩き方がおかしくなる。
グレード3:膝蓋骨が常に脱臼した状態になる。人が手で押すと一時的に元に戻るが手を離すとすぐに外れる。歩き方の異常が強くなる。後ろ足を曲げていたり、足を引きずる、腰を落とした状態で歩く、内股で歩くなどが見られるようになる。骨が変形していることもある。
グレード4:膝蓋骨が常に脱臼した状態にある。人の手で押しても元には戻らない。骨の変形も重度になり、ひざの関節の曲げ伸ばしができなくなる。歩き方は、絶えず後ろ足を上げたままになったり、うずくまるような姿勢で歩く。できるだけ足を地面につかないような歩き方をする。
触診・レントゲン・CT…診察時は状態を詳細にチェック
膝蓋骨脱臼の検査は、触診とレントゲン検査が主な検査になります。触診では、ひざの関節を曲げた状態やまっすぐな状態などそれぞれの状態でしっかり観察し、触診していきます。
触診ではすねの骨を内側や外側に向かって回転させるなど、さまざまな角度から脱臼の状態を確認します。また、後ろ足の筋肉の状態や関節の左右差などもチェックします。
このほか診察室で歩かせてみて、歩行検査なども行います。歩行検査では歩行の状態や違和感の有無などをチェックします。さらにレントゲン検査で関節の状態を画像で詳しく調べます。
なかには、触っても脱臼の様子やどこに痛みがあるのかよく分からなかったり、レントゲンを撮っても詳細が把握しにくいケースがあります。
そのようなときはCT検査を行うことで、脱臼の詳細な様子が分かることがあります。関節鏡と呼ばれる小型カメラを関節内に挿入し、半月板や靱帯の状態を確認することもあります。
加えて、血液検査などの一般的な検査によってほかの病気の可能性を排除することも必要です。例えば、高齢の動物であれば、同じく関節の病気であっても脱臼ではなくて感染や炎症が原因のこともあります。
関節炎の場合は、レントゲン検査のほかに、血液検査で炎症の有無を見たり、関節に針を刺して関節液を抜いて検査したりもします。
中村 泰治
獣医師
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】