※画像はイメージです/PIXTA

昨今、高齢化の進展で「親が老人ホームに入居した結果、空き家になった実家」が多く見られるようになりました。このような場合、親が存命のうちに実家を売却したほうが有利なのでしょうか、それとも相続が発生したあとに売却したほうが有利なのでしょうか。相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の山田浩史税理士が解説します。

有利判定を事例に当てはめて考察

[図表3]のような前提をおいてケースごとの税金を比較してみます。

 

[図表3]

 

入居時にあった金融資産2,000万円と年金で施設利用料を含めた生活費をまかない、相続発生日にあった財産は、不動産売却代金手取額のみ(生前売却の場合)または不動産のみ(相続発生後売却の場合)であったとする。

 

【ケース1】

・相続人は子供1人で、持家に住んでいる

・建物は昭和57年建築

[図表4]想定される特例

 

[図表5]税金の比較

 

税金を比較した結果、生前売却が有利


 

【ケース2】

・相続人は子供2人で、それぞれ持家に住んでいる

・建物は昭和55年建築

・相続人が1/2ずつ共有取得して売却(相続発生後売却の場合)

 

[図表6]想定される特例

 

[図表7]税金の比較

 

税金を比較した結果、相続発生後に売却するほうが有利

まとめ

生前売却か相続発生後売却のどちらが有利であるかは、あくまでケースバイケースです。

 

複数の税金を意識しつつ、老人ホームに入居した親の財産内容(種類や金額など)、家族構成、家族の生活状況その他の事情を総合的に考慮して検証しなくてはならなりませんし、今回は記載を省略しましたが、各規定の細かい要件も踏まえて適用の有無を慎重に確認することが必要です。

 

そのため、専門家への相談は必須となると考えられますが、「老人ホームに入居してから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却」という要件もありますので、早めの検討・相談が望ましいと言えるでしょう。

 

 

税理士法人ブライト相続
山田 浩史

 

 

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