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相続開始後に障害者の認定を受けることはできるのか!?
相続が発生した時点に、下記の要件を満たす場合には、一定額を、税金から直接控除することができます。
1.日本国内に住所を有すること
2.障害者に該当すること
3.法定相続人であること
4.障害者である相続人が財産を取得すること
この要件の中の2つ目の『障害者に該当すること』ですが、相続が開始した時、つまり相続日時点で障害者であるということが必要です。相続日時点において『障害者に該当している』というのはどのような状況ということでしょうか。
基本的には、障害者手帳を持っていれば障害者であったとみなされます。そのため、原則論としては、相続日時点において障害者手帳を所有している法定相続人が財産を取得した場合、障害者控除として相続税が控除されます。
それでは、障害者手帳を発行できるけれど申請を行っていなかった方は適用を受けることはできないのでしょうか。下記の一定の条件を充たす場合には、『障害者』として認める取り扱いがあります。
1.相続税の申告書を提出する時において手帳の交付を受けていること、または、交付申請中であること
2.相続発生の時に、障害者手帳が発行される程度の障害があることが認められること
こちらは、手続きを行ってなかった方に対しての救済的な措置となります。
筆者もこれまでの実務経験の中で、障害者手帳を発行していなかった方がいらっしゃいました。そのような方は、かかりつけ医に対して、申告書を提出する時までに間に合うように、「速やかに」障害者手帳の発行をしてもらうように伝えています。また、かかりつけ医に対して、相続日時点から既に障害者手帳を発行する要件を満たしていたという診断書も発行してもらい、より説得力をもたせるように申告を行い、相続税を大幅に安くすることができました。
障害者手帳の発行が期限までにどうしても間に合わないというケースでも、交付の申請中の場合には、医師の診断書のみでも認められるケースがありますので、可能性がある方は早めに税理士に相談するようにしましょう。
認知症の人も障害者扱いの対象になる!?
相続の際に、高齢な配偶者の方がいらっしゃいます。認知症となり、意思能力が認められない場合には、判断能力がない方に対して、その方の利益を損なわないように判断できる代理人、成年後見人を申請する必要があります。
この場合、認知症の方というのは成年被後見人という扱いとなります。成年被後見人というものは、障害者手帳は発行されません。
それでは、障害者控除を適用することはできないのでしょうか? 過去に東京国税局と納税者の間のやりとりの記録があり、下記の回答があります。
「成年被後見人である相続人は、相続税の障害者控除の対象となる特別障害者に該当するという見解で差し支えない。」
出所:国税庁ホームページより
相続の申告義務があり、納税義務がある方は、遺産分割が必須となり、分割協議を行わなくてはいけません。そのため、今までは生活上の弊害がなかったため認知症ではあるものの、成年被後見人の申請を行っていなかった方というのが通常多いケースかと思います。
相続税の申告をきっかけに成年被後見人の申請を行う場合、相続開始後に申請を行いますので、障害者控除を使えるのでしょうか。
こちらも、障害者手帳のように、相続開始日時点で、後見のお手続きを行っているか、相続開始時点に相応の障害があったかどうかをというのがポイントとなります。
障害者控除は税金からダイレクトに控除されるものですので、メリットとしては大きい反面、税務署から認められなかった場合には、負担が生じてしまう可能性もあります。これまでに説明した項目に該当しそうな方は、是非相続税に詳しい税理士に相談しましょう。
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