米国が世界経済をけん引する
まず、国際通貨基金(IMF)の見通しによると、2022年の世界景気=総需要を支えるのは、米国と見られます。
以下の図中にも説明したとおり(→[図中の赤の棒グラフ]を参照)、中国を含む多くの国々は2022-23年にも「需要不足」を抱える一方で(→[赤の棒グラフ]が下向き)、「需要超過」となるのは米国やカナダ、トルコなどです(→[赤の棒グラフ]が上向き)。
もちろん、いずれの国々も普段より大きめの経済成長率を実現すると見られますが、コロナ前からのトレンド(→労働力人口や設備投資、生産性の伸びに従って増えるであろう供給能力)を上回って推移するのは、米国などに限られるということです。
他方、中国については、
2.最終財・サービスへの価格転嫁抑制や人民元高による利益の圧迫、
3.不動産への信用抑制や規制強化
などで、景気に幾分のダウンサイド・リスクを考える必要があるでしょう。
(あらためてシンプルに捉える)世界経済の構造
そもそも、世界経済の構造を考えると、米国は貿易収支が赤字です。これは「作る」よりも「食べる」ほうが多いことを意味しています。他方で、中国や欧州は貿易収支が黒字です。これは「食べる」よりも「作る」ほうが多いことを意味しています。
言い換えれば、米国が食べてくれないことには、他国は作っても余ってしまいます。それは、雇用が減ることも意味します。
世界景気は米国の需要次第です。第2次大戦以降続くこの経済構造は、もうしばらく変わらないと思われます。
ちなみに、この経済構造が崩れるときは、米国債(ドル)への信用が落ちるときです。米国債も日本国債も、将来の税収(や一部は過去に積み上げた資産)によって担保されているわけですが、現実的に税収(増税)では返済されないほどに債務残高が積み上がっていると「人々が思う」とき、このシステムは崩壊します。