政策金利を5%に引き上げ
■メキシコ銀行(中央銀行、中銀)は11月11日に金融政策決定会合を開き、政策金利を4.75%から5.0%に引き上げました。中銀による利上げは今年6月以降4会合連続となり、高止まりが長期化しているインフレへの中銀の警戒感を示す結果となりました。
景気は回復、インフレの高止まりは長期化
■新型コロナウイルスのデルタ型の感染拡大から、メキシコの2021年7-9月期のGDP成長率は前期比▲0.2%となり、大方の予想を下回りました。しかし足元では、感染拡大の収束や重症者数の減少から、景況感や雇用環境は再び回復傾向が鮮明になっています。
■一方、エネルギー価格の上昇に端を発したインフレ圧力の高まりは、レジャーや日用品、衣料品など幅広い分野に広がってきており、予想外の物価の高止まりが長期化する蓋然性が高まっています。弊社でも、2021年の消費者物価指数の上昇率予想を+6.6%に、2022年の予想を+3.8%にそれぞれ引き上げました。
メキシコペソは堅調も、諸外国の金融政策には注意
■インフレ高止まりの長期化から、中銀は今後も金融引き締めを継続するものと思われます。政策金利は来年にかけて更に1%引き上げられ、2022年中には6.0%まで上昇するものと予想しています。景気回復と金融引き締めを受けた短期金利の上昇から、メキシコペソは安定した推移が続きそうです。また、原油価格の上昇も、資源国通貨であるメキシコペソには追い風となりそうです。
■一方、米国をはじめとする諸外国の金融政策には注意が必要です。高水準のインフレを顧みず政治主導で大幅な金融緩和を続ける新興国もあり、米国における金融政策の変更をきっかけに市場全体の変動性が高まるような局面では、メキシコを含む新興市場全体が動揺する可能性があり、注意が必要です。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『メキシコ中銀が4会合連続で利上げ』を参照)。
(2021年11月12日)
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