「自分の手で『終わらせる』べきか」と問う山下真理子氏

いつまで続くのか分からず、「出口の見えないトンネルのなかにいるよう」ともいわれる不妊治療。女医の山下真理子氏も、そんな不妊治療で子供を授かったひとりだという。どのような問題に直面し、どう向き合ってきたのか、医師の立場から語ってもらう本連載。第10回目は、第二子の不妊治療中だという現在、まさに直面している問題について原稿にしたためてもらった。

もっとおっぱいをあげたかった…

一番心苦しかったのは、早々に断乳したこと。

 

私は、産後4ヶ月目にはもう生理が戻っていた。

 

最初から母乳と粉ミルクを併用する、いわゆる「混合乳」育児ではあったものの、息子はおっぱいが大好きで、粉ミルクよりも量が少ないのにもかかわらず、母乳を欲しがった。

 

不妊治療を行うためには、断乳しなければならない。

 

母乳の出が悪かったことも手伝い、結局私は、息子が生後5ヶ月に入る前にほぼ断乳した。

 

不妊治療のための投薬を開始したことで、滲む程度には出ていた母乳も、完全に出なくなった。

 

乳腺炎に悩まされることもないまま、私の「授乳」は終わった。

 

胸が張ることもなくなったし、「授乳しやすい服」ではなく、着たい服を着て出かけることができるようになった。

 

不妊治療費用のこともあり、少しずつ仕事にも復帰した私だが、長時間子供を預けたときも、粉ミルクで完全に対応できるようになった。

 

「断乳するとラク」とは聞いていたし、確かにそうだけれど、私は今でも、「もっとおっぱいをあげたかった」と後悔している。一生に一度しかない時期を失ってしまったような、そんな喪失感を未だに時々感じる。

 

不妊治療のたびに、私は0歳児の息子を一時預かりに預けている。

 

成長を見守る時間を手放しているような、そんな寂しさも募る。

自分の手で終わらせるべきなのか

それでも二人目の不妊治療は、未だに「終わり」を迎えていない。毎回1つだけ育った卵をなんとか採卵するものの、受精は成功しなかった。

 

3回目の採卵は、手術当日にはすでに自然排卵していたために中止。急遽、人工授精に切り換えることとなった。

 

息子は、もうすぐ9ヶ月になる。これから成長していくほど、いろいろなお金がかかってくるだろう。

 

二人目の不妊治療を、自分の手で「終わらせる」べきか、「妊娠する」まで続けるべきか、私の答えはまだ出ていない。

 

焦りもあるし、不安もある。妊娠したくて頑張っている一方で、今すぐ妊娠したら、小さい子供二人の面倒を見ていかなければならないという不安もある。

 

二人目不妊治療がどういう結末を迎えるにしろ、自分の中で納得のいく結果にしたいと思っている。
 

 

山下 真理子

 

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