「自分の手で『終わらせる』べきか」と問う山下真理子氏

いつまで続くのか分からず、「出口の見えないトンネルのなかにいるよう」ともいわれる不妊治療。女医の山下真理子氏も、そんな不妊治療で子供を授かったひとりだという。どのような問題に直面し、どう向き合ってきたのか、医師の立場から語ってもらう本連載。第10回目は、第二子の不妊治療中だという現在、まさに直面している問題について原稿にしたためてもらった。

二人目の不妊治療、残された時間は少ない

一人目の出産において、私の不妊治療の終わりは「妊娠」だった。

 

最初は、「もう妊娠したくない」と、つらい悪阻の間にはそんな弱音も吐いた私だが、息子が日に日に成長していく姿を見て、この子に弟か妹を作ってあげたい、と思う気持ちが強くなってきた。

 

AMH値が低く、卵巣予備能の低い私に、残された時間はあまりない。

 

「卵巣予備能が低くても、それはつまり40代で妊娠できないと言うわけではない」

 

そう言われたけれど、確率が低いことに変わりはない。

 

女性の卵子は、若返ることはない。

 

「今日が一番人生の中で若い日」とはよく言ったものだが、まさに卵子についてもそれが言える。

 

産後、生理が戻ってきてすぐに二人目不妊治療を開始した。

 

体外受精で採卵を行い、卵子を凍結して、息子が2歳をすぎてからお腹に戻す(胚移植する)というのが、私たち夫婦の計画だった。

 

「だった」というのは、不妊治療を開始して3ヶ月、未だに採卵は成功しないまま日々が過ぎているからだ。

一人目とは違う二人目不妊治療の葛藤

一人目の不妊治療と、二人目の不妊治療を経験してわかったことは、それが「全く別もの」ということ。

 

気にし過ぎかもしれないが、待合室で感じる周囲の視線。

 

「すでに一人子供がいるのに……」

 

そう思われているような気がして、肩身の狭い思いをする。

 

そして、周囲からは、こんな声をかけられる。

 

「まだ(息子が)小さいんだから、もっとゆっくり体を休めてから考えたら」

 

「一人目ができたんだし、二人目は、なんだかあっけないくらいあっさりできる人が多いよ」

 

「(わざわざ二人目のために体外受精すると言うことは)産み分けを考えてるの?」

 

どれも、悪意のない言葉ではあるけれど、時間のかかる不妊治療をしている身には、チクチクと刺さる。

 

そして何より、0歳の今、毎日のように変化成長している息子に、寂しい思いをさせているのではないかという葛藤もある。

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