人によって投資環境・目的・目標額は異なる
投資を行う場合、最初に行うことは「どのような方向性で投資を組み立てるか」ということです。もちろん、目の前の物件をどんどん買い進めていくことも可能ですし、否定もしませんが、最終的な目的地が見えないままスタートを切ると、思わぬ方向に向かってしまい、再スタートを余儀なくされることになったり、遠回りをする結果となることが少なからずあります。
最終的に、賃料がいくらで、何パーセントくらいの利回りで、何世帯くらいのものを、どういった借入れで手に入れて、どうやって返していくか。希望のキャッシュフローを得るために、10億円の借入れをするのか、1億円程度で押さえたいのか、あるいは無借金で実現したいのか。また、必要なキャッシュフローは、年間100万円なのか1000万円なのか1億円なのか。キャッシュフローは今すぐ欲しいのか、10年後でいいのか、20年後でいいのか・・・。
不動産投資を行うみなさんひとりひとり、居住地や資産背景、年齢、性格、家族構成などすべて異なりますし、目標や目的もおそらく違うでしょう。それから、市場的な変化はもちろん、急にまとまった現金が必要になったり、キャッシュフローの金額よりも時期が優先されることになったりというプライベートな状況変化もあるでしょう。
不動産投資をはじめた当時の筆者の場合
●神奈川県内に居住→首都圏での投資が容易
●持家で、しかも住宅ローンは過大ではない→銀行の受けがいい
●既婚(結婚17年)→銀行の受けがいい。配偶者保証人も可能
●親は高齢で資産家でもなく、兄弟も多い→追加資金は期待できない
●30代半ばで双子誕生、教育費負担大、老後対策ができない→CFは60歳からで可
●年収1000万円のサラリーマン。固定給で勤続約20年→銀行の受けがいい
●不動産業→銀行の受けが悪い(資格複数所有をアピール?)物件探しには超有利
●投資に充てられる現金は500万円→物件が限られる?
●性格は慎重。リスクの内容と範囲が理解できれば受容可能→立地条件・規模に制約
●不動産系及び建築系の経験と知識あり→バリューアップ投資可能
市場や状況の変化に合わせて投資方法を切り替える
最初に買った物件が、横浜市内の駅徒歩9分、分譲地内敷地60坪の築古土地値物件(価格3200万円)の八景台荘だったのは、なんとなくご理解いただけると思います。
最初の1物件目を取得したあとは、キャッシュフローで、また売却益でこの投資を補完するための物件をひとつひとつ追加。あわせて、「性格は慎重」ですから、市場や状況の変化に合わせていつでも代替案に切り替えられるよう投資の組立てに配慮しています。
●目標キャッシュフロー額を引き下げれば、すぐにでもゴールを迎えることができる
●まとまった現金が必要であれば、いつでも一部が現金化ができる
●リスク許容のハードルを上げて、キャッシュフロー額を上げることもできる
●緊急事態があった場合、いつでも投資を終了することができる
例えば、総額2億円相当の物件を所有していて、ローン残高が1億5000万円あり、売却すると5000万円の現金が手元に残るという場合、
(1)そのまま保有して600万円のキャッシュフローを得る(借入れ1億5000万円)
(2)売却して同じ利回りの5000万円の物件を購入して、300万円のキャッシュフローを得る(借入れゼロ)
(3)売却して同じ利回りの5億円の物件を購入して1200万円のキャッシュフローを得る(借入れ4億5000万円)
いずれの方向にも転身することができます。ただし、そのためには物件の「流動性」と、融資を引き出せる「金融機関」の確保が必須条件になりますから、個人的にはそういった部分により着目してしまいます。