(※画像はイメージです/PIXTA)

遺産を共有状態で放置すると、さまざまな問題が発生するため、遺産分割協議は早期の実施が望まれます。まとまらない場合は、遺産分割調停で第三者をあいだに入れて協議する方法もあります。相続税の申告期限に間に合わない場合、共有のままでは相続税減税の特例が適用できなくても、再度の申告で適用できる場合があります。IPAX総合法律事務所の工藤敦子弁護士が解説します。

遺産が未分割の場合、相続税申告はどうすればいい?

相続税の申告義務

相続税の申告は、相続があったことを知ってから10ヵ月以内にしなくてはなりません。10ヵ月というのは意外と短く、そのあいだに遺産分割協議がまとまらないこともよくあります。それでも、申告期限が延長されることはありません。

 

期限までに申告しなければ、無申告加算税や延滞税がかかるというリスクがあります。

 

未分割での申告

申告期限までに遺産分割協議がまとまらなかった場合は、法定相続分によって分割したと仮定して、相続税の申告・納付を行い、後日分割が決まってから、改めて修正申告(相続税を払いすぎている場合)、又は更正の請求(追加で相続税を納めなければならない場合)を行います。

 

修正申告については期限はありません。更正の請求は、分割後4ヵ月以内にしなくてはなりません。

 

相続税申告の特例を「後から適用」する方法

配偶者税額軽減の特例や、小規模宅地等の価額の特例などは、未分割では適用されません。これらの特例の適用を受ければ、相続税がゼロになる場合でも、特例の適用がなければ、相続税がかかる場合、申告期限内に未分割で申告し、納税しなければなりません。

 

これらの特例の適用を受ける予定がある場合には、未分割の申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておきましょう。申告期限から3年以内に分割できれば、その後4ヵ月以内に更正の請求を行うことにより、特例の適用を受けることができます。

 

また、やむを得ない事情があり3年以内に分割ができなかった場合、税務署長の承認を受けておくことで、その事情が解消されてから4ヵ月以内に分割できれば、特例の適用を受けられます。この場合も、分割後4ヵ月以内に更正の請求を行う必要があります。

 

 

工藤 敦子
IPAX総合法律事務所
カウンセル弁護士

 

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