「『ありがとう』と夫に伝える習慣を続けている」と語る山下真理子氏

いつまで続くのか分からず、「出口の見えないトンネルのなかにいるよう」とも言われる不妊治療。女医の山下真理子氏も、そんな不妊治療で子供を授かったひとりだという。どのような問題に直面し、どう向き合ってきたのか、医師の立場から語ってもらう本連載。第9回目は、不妊治療を続ける夫婦の現実と苦悩を原稿にしたためてもらった。

妊娠してもそれで終わりではない

私が不妊治療を続けていく中で、そして今も、必ず続けている習慣がある。

 

それは「ありがとう」と、夫に伝えること。

 

「なんでわかってくれないの?」と思うこともたくさんある。不妊治療をしていると、「命とは」「子供がいる意味」「家族の意味」「夫婦のあり方」など普通の家族が時間をかけて直面していく様々なことに、一気に直面する。

 

「そこまでして、どうして子供を欲しいと思うのか」

「子供が欲しいと思うことは自分のエゴではないか」

「夫と一緒に子育てしていけるだろうか」

「自分に子育てができるのだろうか」

 

自信満々に、これらに正解できる人は、多くないだろう。なにより、正解なんてない。

 

不妊治療は、妊娠して「成功」だけれども、それで終わりではない。むしろ、「始まり」でもある。

 

妊娠中は、様々なトラブルの可能性もあるし、仕事をどうするのか、を考えなければならない。3時間おきの授乳、寝不足、離乳食……いろんなことがある。

 

このコラムは、有り難いことに今回で9回目を迎える。不妊治療に興味がある人や不妊治療中の女性だけではなく、いつも、不妊治療に関わるパートナーである男性や、子育て中の妻を支える男性にも是非読んで欲しい、と思っている。

 

不妊治療には、当然ながら、夫婦の協力は必須である。どちらかが欠けても、成功はない。

 

けれども、お互いがお互いの気持ちに寄り添って、「ありがとう」と言う気持ちを相手に示すことで、先の見えない孤独や、人には相談できない葛藤を、少しでも癒せるのではないだろうか。

 

 

山下 真理子

 

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