●今週は注目度の高い半導体製造装置や電子部品、工作機械の主要メーカーが決算発表予定。
●4-9月期の進捗率や業績予想の修正度合いが焦点、ただ供給網混乱などの影響が懸念される。
●今回の決算には慎重な見方も、当面は足元のリスク要因の影響が小さい銘柄を物色する動きに。
今週は注目度の高い半導体製造装置や電子部品、工作機械の主要メーカーが決算発表予定
日本では今週から、3月期決算企業による2021年4-9月期の決算発表が本格化します。東京証券取引所が公表しているデータによると、市場第一部に上場している3月期決算企業のうち、今週は420社、来週は347社、再来週は651社が決算発表を予定しており(10月21日時点)、再来週までに市場第一部上場の3月期決算企業の約98%が決算発表を終える見通しです。
主要企業の決算発表スケジュールをまとめると、図表1の通りになります。引き続き市場で注目度の高い半導体製造装置や電子部品、工作機械メーカーについては、今週、日本電産、日東電工が26日、信越化学工業、ファナック、SCREENホールディングスが27日、アルプスアルパイン、アドバンテスト、キーエンス、ロームが28日、村田製作所が29日に、それぞれ決算発表を予定しています。
4-9月期の進捗率や業績予想の修正度合いが焦点、ただ供給網混乱などの影響が懸念される
今回の決算では、4-9月期の進捗率(企業自身の業績予想に対する達成度合い)や、2021年度の業績予想の修正度合いが焦点となります。進捗率については、4-9月期の場合、50%が一つの目安となりますが、この水準を大きく超えれば業績は好調と判断することもできます。また、2021年度の業績予想について、上方修正の動きが顕著にみられれば、株価には好材料となります。
ただ、足元ではコロナの影響で、人手不足に伴うサプライチェーン(供給網)の混乱が続いており、また、原油高などにより原材料価格が上昇しています。これらに加え、中国経済の成長ペースが鈍化するとの見方も市場で広がっています。このように、企業を取り巻く環境に不透明感が高まっていることから、今回の決算については慎重な見方をする向きも増えつつあるように思われます。
今回の決算には慎重な見方も、当面は足元のリスク要因の影響が小さい銘柄を物色する動きに
そこで、アナリストによる東証株価指数(TOPIX)構成企業の業績予想について、現時点での傾向を確認してみます。12ヵ月先の予想1株あたり利益(EPS)について、リビジョン・インデックスでは、業績予想を上方修正した銘柄の割合が依然大きいものの、その度合いは低下しており、EPSの伸び率も2ケタの増益予想が示されているものの、やや鈍化傾向がうかがえます(図表2)。
これらを踏まえると、今回の4-9月期決算は、全体として保守的な業績予想が示される可能性が高いと思われます。なお、10月31日の衆院選の結果次第では、一時的に株式市場全体が大きく変動することも見込まれ、この点には注意が必要ですが、当面はサプライチェーンの混乱、原材料高、中国経済の成長鈍化、これらの影響が小さいと判断された銘柄を中心に、物色の動きが強まるとみています。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年4-9月期決算の注目ポイント』を参照)。
(2021年10月25日)
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト