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質の高いサービスを提供するチームづくり
■介護態勢づくりで、ケアマネの手腕が問われる
ケアマネはチームをつくって担当する利用者の介護を支えます。
チームを構成するのは、訪問介護のホームヘルパー、訪問看護師、訪問入浴のスタッフ、訪問リハビリを行なう理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、通所介護のデイサービス・スタッフ、福祉用具レンタル会社社員といった、その道のスペシャリストです。
ケアマネは各々、そうした人たちが所属する事業所にルートをもっています。また、そのスタッフのなかには直接交流がある人もいて、その人柄やスキルも把握している。担当する利用者のケアプランができたら、このなかから適していると思われる人材を選び、チームをつくってケアに当たるわけです。
このチームづくりにケアマネの手腕が表れます。良いケアマネは、この人たちの仕事ぶりや利用者からの評価をしっかりチェックします。そして質の高いサービスを提供した人たちには、その後も仕事を継続して頼み、問題がある人には声をかけなくなります。良いケアマネのもとには利用者に満足される、人柄がよくて高いスキルをもつ人材が残るわけです。
また、こうしたケアマネの場合、「この人なら大丈夫」と思ったら信頼してケアを任せるので、チームを構成する人たちも意気に感じ、その道のプロとして良い仕事をする。ケアマネとサービス事業者は信頼関係で結ばれており、結果、利用者に質の高いサービスを提供できるというわけです。
良いケアマネは人材発掘にも積極的です。ケアマネのもとには仕事の依頼を受けようと多くのサービス事業者が営業活動にやってきますが、忙しくても時間をつくって面談。そのなかから信頼できそうな事業者が見つかれば仕事を任せてみる。そしてチェックし、期待に応えてくれれば、継続して頼むのです。こうして良いケアマネは、質の高いサービス事業者を多数キープすることになり、良いチームをつくることができるわけです。
いっぽう、ダメなケアマネは、介護サービス事業者の仕事ぶりのチェックが甘く、利用者がサービスに満足していなくてもスルーすることが多い。質が担保されていないわけです。それでいて利用者とのあいだでトラブルが起きたりすると、上から目線で注意したり、事業者替えを行なったりする。また、ケアの方向性について打ち合わせをしても、ケアマネの意見が押しとおされるといいます。
こんな環境では、サービス事業者も仕事に対するモチベーションがあがらないし、信頼関係が生まれることもない。これでは介護をサポートする良いチームができるわけがありません。
ケアマネをスポーツチームの監督に例えましたが、チームづくりの点でも似ています。名監督は良い人材を集める眼力がありますし、見込んだ選手は信頼して起用しつづけ、結果に結びつけます。また、潜在能力を認めた若手にはチャンスを与え、実力を引き出す。監督がそんな手腕を発揮すれば、チームは活性化され、強くなるわけです。
いっぽう、ヘボ監督は能力を見抜く目がなく、若手を育てる手腕もないため、良い選手をそろえることができません。くわえて選手がミスをすれば、すぐに替えて腐らせたりする。チームの雰囲気は悪くなり、勝てなくなるという悪循環に陥るわけです。