(※画像はイメージです/PIXTA)

欧米のインフレ進行を受け、わが国でもインフレ懸念が高まっています。日々、危機感をあおるような報道がされていますが、まずは「インフレ」が及ぼす影響について冷静に考えてみましょう。資産防衛に役立つ資産配分や、資産の海外移転に有効な方法について、メガバンク出身の目白大学短期大学部ビジネス社会学科教授、藤波大三郎氏が解説します。

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わが国でも「インフレへの懸念」が高まっているが…

現在、米国、欧州でインフレが始まっていることから、わが国でもインフレへの懸念が高まっています。しかし、まずは「インフレ」というものをどうとらえるか、よく考えてみる必要があると思います。

 

インフレは継続的な物価上昇とされますが、まず言えることは、インフレが多くの人に被害を及ぼすことでしょう。

 

被害を及ぼす例として典型的なのは「賃金の目減り」ですが、インフレ率を翌年の賃金に転嫁する形で賃金が上昇するのが一般的であり、若い世代がこうした問題で苦しむことはないでしょう。

 

問題は年金生活の世代です。たとえば、企業年金はインフレを反映しませんから、インフレ分だけ価値が減少していくことになるでしょう。しかも、複利のペースで減少するので大きな問題です。

 

また、公的年金は原則的にはインフレにスライドしますが、「マクロ経済スライド」によって、年0.9%はインフレに追い付かない状態が約20年続くことになっています。高齢者の人口に占める割合が約3割となっているわが国では大きな問題です。

 

しかし、国民が金融資産運用で最も活用している銀行預金については、1994年の預金金利自由化により、今後インフレで預金者が犠牲になることはないでしょう。1970年代の石油ショックの高インフレを経験した人々からは「そうは思わない」と言う意見もありますが、当時、預金金利は政府によって規制されていたのです。

資産を海外移転するなら、手軽なのは外国籍の投資信託

ノーベル経済賞受賞者のJ・E・スティグリッツ氏の書著『入門経済学』(東洋経済新報社)では、「物価が1ヵ月間に800%上昇した1970年代のアルゼンチンでさえも、銀行預金の利子率は1ヵ月800%以上であった」と述べていますが、預金金利が自由化されたいまでは、この見方が正しいと思います。なお、2017年にスティグリッツ氏は安倍元総理の招きで来日し、アベノミクスの金融政策について助言したこともある人です。

 

このときスティグリッツ氏は、日本の国債はその多くが日本銀行に保有されているので相殺されて問題はないとしています。また、ロイターによると、2018年にIMF(国際通貨基金)は、「巨額の借金を抱える日本の場合、負債額はGDPの283%に相当するが、その半分以上を日本銀行を含めた政府機関が抱えている。他の資産も考慮に入れて試算すると、日本の『純資産』はほぼプラスマイナスゼロになる」と報告しています。ちなみに、米英独仏の各国はいずれも純資産はマイナスです。

 

しかし、念のために資産を海外に移すのであれば、プライベートバンクのあるスイス、ルクセンブルク等の銀行が適当と考えられます。こうした銀行は最低の取引金額が大きいのですが、手軽に資産を海外に移すのであれば外国籍の投資信託が便利です。筆者はルクセンブルクでの勤務経験があるのですが、ルクセンブルクは投資信託の設置国としても有名(残高は米国についで世界第2位)であり、わが国でもルクセングルク籍の投資信託が販売されています。外国籍投資信託でも、通貨は円建ての商品も多くあります。

 

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