(※画像はイメージです/PIXTA)

企業オーナーの場合、資産の大半が自社株であるケースは少なくありません。分散投資でリスクをヘッジする場合、自社の業績と連動しない商品を選択するのはもちろんですが、ほかにも確認すべきポイントがいくつかあります。メガバンク出身の目白大学短期大学部ビジネス社会学科教授、藤波大三郎氏が解説します。

大企業の財務基盤は盤石、今後の日本経済の拡大に期待

なお、そもそも日本経済には期待できないので海外での資産運用を目指す、という意見もあります。事実、日本の大企業は海外へのM&A等の投資を急増させており、その残高は206兆円(2020年12月時点)にもなっています。その資金調達は、いわゆる「内部留保」で行われています。そのため、わが国の大企業の自己資本比率は50%を超える企業も多くなり、米国の大企業を上回っています。

 

これは、わが国の大企業の従業員が雇用の保障を求めて賃金の抑制を受け入れたからではないでしょうか。図表にあるように1990年代以降、わが国の労働分配率は低下し、同時に、大企業の自己資本比率は上昇しています。岸田総理が「分配」の問題を取り上げるのはこうした問題があるからです。

 

出所:労働政策研究・研修機構ホームページ「活用労働統計(2018年版)」、中小企業庁「中小企業・小規模企業の財務状況」 をもとに著者作成
自己資本比率(大企業)と労働分配率の状況(1990年~2011年)出所:労働政策研究・研修機構ホームページ「活用労働統計(2018年版)」、中小企業庁「中小企業・小規模企業の財務状況」 をもとに著者作成

 

しかし、先述の通り、わが国の大企業は米国の大企業以上に強い財務基盤を確立しており、雇用も流動化しつつありますので、労働分配率は上昇すると思われます。それによって賃金の上昇と個人消費の拡大が起こり、日本経済は拡大へと向かうのではないでしょうか。

 

 

藤波 大三郎
中央大学商学部 兼任講師

 

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