3―フリマアプリの利用はコロナ禍での収入減少より世代によるリテラシーや消費価値観の違いが影響
本稿では、コロナ禍で利用が増えているフリマアプリの利用に注目し、ニッセイ基礎研究所「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」のデータを用いて、フリマアプリの利用実態を捉えた。その結果、男女とも比較的若い年代や子の年齢の低い子育て世帯、学生で利用率が高く、これらの層を中心にコロナ禍で利用が増えていた。また、雇用情勢が悪化する中でも、40・50歳代などの収入減少への不安が強い層や収入が実際に減少した層と比べて、20・30歳代などの不安が弱い層や収入がむしろ増加した層で利用率は高まっていた。
つまり、コロナ禍におけるフリマアプリの利用増加は、雇用情勢の悪化による収入の補填というよりも、従来からフリマアプリを積極的に利用している若い世代を中心に伸びており、年齢、すなわちITリテラシーや消費に対する価値観の違い(モノを所有し続けるよりも使わなくなれば積極的に他者へ売る、モノの購入の際は中古品も有力な選択肢になり得ることなど)の影響が大きな様子がうかがえる。
一方で、若い年代だけでなくシニアも含めて幅広い年齢層において、利用者層でもコロナ禍で利用を増やした層も拡大傾向にあり、フリマアプリは消費者がモノを得る手段の1つとして、今後、一層の成長が期待される。
なお、シェアリングエコノミー協会によると、2030年度の市場規模は現状ベースで成長した場合、フリマアプリなどのモノのシェアは1兆7,826億円(2020年+8,249億円で+86.1%)、シェアリングエコノミー全体では7兆4,719億円(+5兆3,715億円で+255.7%)の予測となっている。
また、新型コロナウイルスによる不安、認知度が低い点等の課題が解決した場合、2030年度のモノのシェアは3兆3,407億円、市場全体では14兆1,526億円との予測だ。
ニッセイ基礎研究所ではコロナ禍で消費行動が変容する中で、継続的に調査を実施する予定であり、今後もフリマアプリをはじめとしたシェアリングサービスの利用動向全体に注目していきたい。
久我 尚子
ニッセイ基礎研究所
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