多数のアスリートを輩出したスイミングスクールの校長・スポーツ科学者の村井正太郎氏によると、本番で自身の能力を発揮する力「本番力」を磨くことで、子どもの将来の選択肢が増えるのだといいます。本記事では、「習いごと」が子どもにもたらすメリットについて見ていきます。

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みんながみんな「一番」になれるわけではない

本番に強くなれば、力を発揮できる場所が増え、将来の選択肢も増えます。

 

例えば野球をやっていたが野球選手にはなれなかった。そんな場合でも、本番力(本番で自分の能力を発揮する力)を磨いた人なら、別の選択肢から進路を選ぶことができます。

 

野球で培った腕力を活かしてゴルフを始める。教えるのが得意なので野球教室のコーチになる。あるいは野球とはまったく関係のない仕事をするかもしれません。それでもスケジュール管理や対人スキルなどは野球をやっていたときの能力が引き継がれるので、新しい仕事に活かせるはずです。

 

このようにうまく転換できればいいのですが、うまくいかないケースもあります。

 

「野球選手になれなかった。自分にはもう何も残されていない」

 

野球のように競技人口の多いスポーツだと、「プロを本気で目指した」というだけでも相当な実力者のはずです。所属するチームでは常にそこの中心選手。いちばん上手な選手だったかもしれません。

 

しかし、みんながみんな一番になれるわけではありません。かけっこでいつも一等賞。陸上でも全国一位。そのままオリンピック選手になった。それでも金メダルを取れるのはごくわずかな人だけです。どれだけ実力があっても、ほとんどの人は二番以下になる運命なのです。上には上がいて、さらに上には上がいて、一番だった人もいずれ負けるときが来ます。

 

そのときに、勝てなかった原因を探り、解決策を自分で考えられるかが大事です。

 

「スタートに弱点がある。次の大会までに修正しておこう」

「見えない疲れがあったのかもしれない。一度陸上から離れてリフレッシュしよう」

 

自分の限界が見えてしまう日も訪れます。引退です。

 

引退したアスリートも、先ほどの野球選手の夢に挫折した人と同じように、「自分にはもう何もない」と悩んでしまうことがあります。これから一番ではない人生を歩むときに必要なのは、できるだけ多くの選択肢をもっておくことです。

 

一番を目指すことはとてもいいことです。大勢の人が一番を目指さなければ、どんな競技も発展しません。子どもにとっても、「一番になりたい」という思いは、大きなモチベーションです。「みんなが一番になれるわけではない」とわざわざ言う必要はありませんが、一番になれなかったとき、そして子どもがやめたいと言ったとき、子ども自身が別の選択肢をもてるようにしておくのも親の役割といえます。

 

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家庭で磨く本番力 ここ一番に強い子を育てるための50の鉄則

家庭で磨く本番力 ここ一番に強い子を育てるための50の鉄則

村井 正太郎

幻冬舎MC

「テストで緊張して自分の力を出せなかった」「家では上手にピアノが弾けていたのに、発表会当日で失敗してしまった」 本番で十分に実力を発揮できない経験は、多くの子どもたち、そして親たちを悩ませています。 わが子はコ…

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