(※画像はイメージです/PIXTA)

長年連れ添った夫婦間で自宅を生前贈与すると、贈与税が節税できる場合があります。相続税の節税にもなる場合もあるほか、遺産分割の際、配偶者の受領額を多くすることもできます。しかし、相続と比較すると、不動産取得税などの費用が余計にかかる、贈与を受けた配偶者が先に亡くなると思惑が外れるといったデメリットもあるため、十分な検討が必要です。IPAX総合法律事務所の工藤敦子弁護士が解説します。

贈与税の配偶者控除のデメリット

不動産取得税や登録免許税が余計にかかる

相続の場合は、不動産取得税は非課税ですが、贈与税の配偶者控除の特例を使った場合も、贈与時に不動産取得税は課税されます。

 

さらに、相続の場合は、不動産登記にかかる登録免許税が通常の1/5に減額されますが、贈与税の配偶者控除の特例を使った場合でも、登録免許税の減額はなく、通常と同額を支払う必要があります。

 

贈与を受けた配偶者が先に亡くなった場合

例えば、夫が先に亡くなると予測して、夫から妻に居住用不動産を贈与しても、逆に妻が先に亡くなってしまうこともあり得ます。そうすると、夫は、もともと自分のものであった居住用不動産を妻から相続することになり、再度名義変更する手間と費用がかかる上、場合によっては、相続税を負担することになってしまいます。なお、妻が先に亡くなったときは、居住用不動産を子どもに相続させることにより、問題を回避できる場合があります。

対象となる居住用不動産の範囲

「居住用不動産」とは、居住専用の土地、地上権、建物であり、日本国内のものに限られます。

 

居住専用の部分とそれ以外の部分がある場合

例えば、店舗兼住宅のように、居住専用の部分とそれ以外の部分がある場合、店舗部分は除外され、住宅部分の土地及び建物だけが「居住用不動産」に該当します。ただし、住宅部分が贈与された土地又は家屋の90%を超える場合は、全部を「居住用不動産」に該当するとして差し支えありません。

 

また、店舗兼住宅の土地や建物のうち、店舗と住宅で共用している部分は、住宅の建物の床面積に応じた面積を住宅専用部分に含めることができます。

 

居住している建物の建っている土地等のみを取得した場合

例えば、夫から妻が妻の居住している建物の建っている土地や借地権の贈与を受けた場合、その建物が夫の所有であるか、または、妻と同居する者の親族の所有である場合には、その土地や借地権は、居住用不動産として、贈与税の配偶者控除の特例の対象となります。

 

 

工藤 敦子
IPAX総合法律事務所 カウンセル弁護士

 

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