不倫妻に全財産を差し出すことに…医師の離婚、「医療法人制度」がもたらした悲劇 (※画像はイメージです/PIXTA)

年収の多い医師は、離婚の際に多額の財産分与に関する問題を抱えることがある。溝上医師(仮名・65歳)も、妻の咲子(仮名)の不貞行為により離婚話が進み始めたものの、財産分与の件で争いが続いた。さらに、医療法人制度による思わぬ弊害も受けていた。弁護士の渡邊泰範氏が携わった医師の離婚問題から、医療法人制度の弊害について紹介してもらう。

医師の離婚、思わぬ「落とし穴」

医師の年収は高いことが多く、離婚となると他の配偶者に対し、多額の財産分与が行われることがあります。一般的には、婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた共有財産が財産分与の対象です。たとえ専業主婦であったとしても、共有財産の2分の1の分与を受けるのが原則です。

 

ところが、医師がクリニックや病院を個人事業としてではなく、医療法人として経営していた場合、財産分与とは別に多額の財産を要求されることがあります。今回ご紹介するのは、医療法人の特性をよく理解していなかったがために、いざ離婚となった際、思わぬ落とし穴に陥ってしまったある医師のお話です。

病院の経営は順調だったが…

医師の溝上氏(仮名・65歳)は、代々医師の家系でした。

 

溝上医師の父はある地方都市で、地域でも評判の病院を経営していました。クリニックや病院などの医療機関は、医師が個人事業として経営することもできますが、医師個人が全ての責任を負わなくてはならない等のデメリットもあります。そこで、多くの場合、規模の拡大に伴い法人化して医療法人とします。

 

医療法人には、社団医療法人と財団医療法人に区分されますが,大多数の医療法人は、社団医療法人です。溝上医師の父の病院も、社団医療法人でした。

 

元々、溝上医師は、別の医療機関に勤務医として勤務していました。職場で知り合った女性・咲子(仮名)と結婚し,2人の子供にも恵まれ充実した日々を送っていました。ところが、溝上医師が35歳の時、突然父が亡くなりました。溝上医師は急遽、実家の社団医療法人を承継し、理事長に就任することになりました。

 

幸いなことに、溝上医師が社団医療法人を引き継いで以降、25年以上にわたり病院の経営は順調でした。溝上医師と咲子は、すでに仮面夫婦となってしまいましたが、表面上は問題ありませんでした。2人の子供も無事に成人しました。

文京あさなぎ法律事務所 代表 弁護士・弁理士

東京大学農学部卒業、東京大学大学院修了(応用生命化学専攻)、東京大学法科大学院終了。
製薬会社、医療コンサルティング会社勤務経験のほか、医療機器販売会社、ヘルスケア関連会社、医療法人の経営経験を有する。
また、医療法人鉄蕉会亀田総合病院へ出向し、診察、回診、手術の立ち合い、救急搬送、当直等、医師と生活を共にすることで、医療現場が直面する法律問題や現場の苦悩を最前
線で経験した。
現在は、医療業界での豊富な経験を活かし、医療機関への法的支援を積極的に行っている。
ホームページ
http://www.ba-law.jp 
医療トラブルに関するWebサイト
https://balaw-medical.jp

著者紹介

連載医師のためのお役立ち情報

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!