(※画像はイメージです/PIXTA)

脳の細胞は、一度死滅すると再生しない――。近年では、そんな定説を覆す研究結果が発表されています。脳の寿命も身体と同様、健康な働きを維持したまま延ばしたり、知的活動で活性化することが可能なのです。脳が老化する仕組みとそれを予防する方法を、アルツハイマー病の基礎と臨床を中心とした老年精神医学の専門医が解説します。※本記事は、新井平伊著『脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法』(文春新書)から抜粋・再編集したものです。

脳に悪影響を及ぼす因子を突き止め、ひとつずつ減らす

脳の老化の仕組みを、4段階に分けて理解しておく

 

健康を維持するには、阻害する因子を取り除き、病気を未然に防ぐことが手っ取り早い方法です。脳についても同じ。脳に悪い影響を及ぼす因子を突き止め、ひとつずつ減らしていくことが、老化を防ぐ要諦なのです。

 

脳の老化は、次の4段階に分けて仕組みを知り、それぞれに予防方法を考えます。

 

身体全体の老化

脳の血管の老化

脳の神経細胞の老化

メンタルの老化

 

脳の老化予防を心掛けることは、とても大切です。

 

SCDやMCIからアルツハイマー病に移行する前であれば、元の状態に回復させることが可能だからです。アルツハイマー病の病変がある人でも、進行を遅らせることができます。まだ変化の自覚がない人なら、文字通り脳の健康寿命を延ばすのに役立ちます

 

では順番に説明しましょう。

 

 身体全体の老化──生活習慣病を予防する 

 

「心身」と言うとき、先に来る文字は「心」です。まず心が元気でなければ、身体も元気に動かないことを意味しているのでしょう。

 

ストレスを抱えると胃に潰瘍(かいよう)ができるなど、心の不調は身体に現れるものです。「健全なる身体に、健全なる精神」という言葉もあります。身体が健康でなければ、精神の健康を保てないのもまた事実です。

 

どんなに脳が元気に働いていても、身体が倒れてしまえば元も子もありません。心肺機能が衰えたり人工透析が必要になったりして自由に歩き回れなくなれば、他人とのコミュニケーションや見聞を広げる行動に制限がかかってしまいます。社会性を失うにつれ、脳の働きは衰えていきます。

 

したがって脳の寿命を延ばすには、身体の寿命が先に尽きないことが大前提です。身体全体の老化予防なしに、脳の老化予防はありえません

 

身体の健康の阻害因子は、脳にもダメージを及ぼします。具体的には、生活習慣病を予防すること。すでにかかっていれば、適切に治療することが第一です。生活習慣病は、認知症にも直結するからです。

 

生活習慣病で多いのは、糖尿病、高血圧、脂質異常症です。

 

脂質異常症は、以前は高脂血症と呼ばれていました。中性脂肪や悪玉(LDL)コレステロール(注1)が基準より高い、または善玉(HDL)コレステロール(注2)が基準より低い状態のことです。

 

(注1)悪玉(LDL)コレステロール:LDL(低比重リポタンパク質)に包まれたコレステロール。増えすぎると動脈硬化を起こす。

 

(注2)善玉(HDL)コレステロール:HDL(高比重リポタンパク質〈注3〉)に包まれたコレステロール。余分なコレステロールを回収して動脈硬化を抑える。

 

(注3)リポタンパク質:血清リポタンパク質ともいう。血中に存在する脂質ミセルとタンパク質の複合体。

 

 

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脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法

脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法

新井 平伊

文春新書

近年、身体の寿命ははどんどんのびているのに、脳の寿命はのびていません。このアンバランスをどうにかしたい、ということで本書は書かれました。 本書では、まず、その脳の謎から説き起こし、なぜ、脳が老化するかについて…

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