責任のなすり合い、飛び交う怒号…「会社存続の危機」に社長が下した決断【物流のケーススタディ】

責任のなすり合い、飛び交う怒号…「会社存続の危機」に社長が下した決断【物流のケーススタディ】
(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍により人々の消費行動が大きく変化するなか、企業においても柔軟な対応が求められています。今回は、自社の急成長に伴い新たなシステムを導入が必要となったある企業の事例から、経営者に求められるリーダーシップと、SCM(サプライチェーン・マネジメント)の重要性を見ていきます。

〈F社の場合〉新システムの導入で問題発生

F社は食品トレー容器を製造する会社です。強みは、市場の変化と顧客ニーズを的確にとらえ、高い機能性とデザイン性をもった商品開発力です。コンビニエンスストアの登場で、一気に市場を拡大し、会社の売上も急成長しました。

 

同社では、デザイン性を重視するため、材料工場できれいに印刷し、最終製品工場で納入形態に加工して出荷していました。生産のリードタイムは長くなりますが、製品の美しさやデザイン性で勝負をしていました。

 

同社は自社が保有する古いシステムが、急成長を支えられなくなったため、当時流行していた海外のサプライチェーン・マネジメントパッケージを導入することにしました。ところが導入したシステムは旧システム以上に使いにくいものでした。

 

海外製のパッケージ製品ということもあり、日本の商習慣に関する細かい対応が難しく、カスタマイズも簡単にはできません。それでも、稼働させることを最優先させたため、現場にまったくそぐわないシステムとなってしまいました。

 

受注や生産指示を入力するにも項目が多く、多くの画面を開かなければなりません。営業担当は入力を嫌がり、正確なデータがインプットされません。工場側への生産指示はメールやFAXになり、担当者間でその都度調整しなければなりませんでした。

 

結果、導入前よりも状態が悪化してしまったのです。工場側も営業担当と電話やメールでやり取りするため、製品がいつ完成するかも分かりません。そのうえ受注の大半を占めていたコンビニエンスストアも、製品のデザイン性よりもスピーディーな納品と価格をより重視するようになり、同社のリードタイムがネックとなっていったのです。

 

また顧客企業から納期確認が入っても正確な回答ができず、顧客がストレスを抱えるようになり、徐々に競合他社に市場を奪われていきました。そのような状態のなか、社内では営業サイドと工場サイドで責任のなすり合いになり、全体会議では怒号が飛び交うようになっていました。

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※本連載は、東 聖也氏の著書『WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX』(幻冬舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX

WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX

東 聖也

幻冬舎

多くの中小製造業では、倉庫管理や製品を配送する物流工程に課題を残している可能性があります。例えば、多くの倉庫ではいまだ手書きで帳簿をつけたり、エクセルなどで手動で製品の管理を行っています。また、「手配する」「梱…

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