1990年代初め、バブル経済崩壊後に訪れた「就職氷河期」。消費を抑えざるを得ない就職氷河期世代のなかには、もはや「節約」という言葉では片づけられない状況へ身を置いている人もいる。日本総合研究所・主任研究員の下田裕介氏がデータをもって指摘していく。 ※本記事は、書籍『就職氷河期世代の行く先』(日本経済新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。
40代で手取り10万円台も…「就職氷河期世代」を取り巻く厳しい現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

2020年代、「氷河期世代の介護」がスタートするが…

次に、今後10年間程度のうちに直面する問題として、「就職氷河期世代の親の介護負担の増大」が指摘できる。ここでは、同世代のなかで早いタイミングでその問題が顕在化すると考えられる年長者の団塊ジュニア世代のケースを中心に考えてみよう。

 

厚生労働省「人口動態統計」などから、親の結婚や出産の年齢を基にすると、団塊ジュニア世代(ここでは第1子を想定)の親の多くは、現在70代前半~70代半ばであると推察される。これは、世代の分類において団塊ジュニア世代の親が団塊世代と呼ばれていることとおおむね一致している。

 

一方で、同じく厚生労働省の調査によると、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間と定義される「健康寿命」は、2016年時点で女性が74.79歳、男性は72.14歳とされる。

 

つまり、団塊ジュニア世代の親は、健康寿命を、父親はすでに超え、母親もまもなく迎えるケースが多いことになる。また、厚生労働省「第22回生命表(完全生命表)」などを基に、親の将来の生存状況を試算すると、最年長で第1子の団塊ジュニアのうち約半数が、2027年までに少なくともどちらかの親を失うことになる([図表2]参照)。

 

資料:厚生労働省「第22回生命表(完全生命表)」などを基に日本総合研究所作成 注:2016年まで両親が存命している団塊世代の最年長・第1子が対象。
[図表2]団塊ジュニア世代の親の生存分布(試算)
資料:厚生労働省「第22回生命表(完全生命表)」などを基に日本総合研究所作成
注:2016年まで両親が存命している団塊世代の最年長・第1子が対象。

 

以上を踏まえると、就職氷河期世代は、2020年代前半以降にも親の介護問題に直面する可能性が高いのだ。

 

ちなみに、総務省「社会生活基本調査」では、介護をしている人がどれだけいるかをみることができるが、それによると、ここ20年間でその割合は高まる傾向にある。

 

資料:総務省「社会生活基本調査」
[図表3]介護をしている人の割合
資料:総務省「社会生活基本調査」

 

とりわけ、団塊ジュニア世代が2020年代前半に迎える50代では、1996年には男性が4.9%、女性が8.1%だったのに対し、2016年には男性が9.3%、女性が15.8%まで増えている。その上昇ペースは、40代の同じ20年間での変化(男性が3.1%から3.7%、女性が5.1%から6.5%)よりも速い。

 

親の介護は、就職氷河期世代に限らず、誰しも問題として抱え得ることだ。もっとも、就職氷河期世代は上の世代と比べて、未婚の人が多く、きょうだいの数は少ないなど、親を支える家族が少なくなっていることもあり、親の介護に直面する人は多くなると考えられる。

 

そして、同世代特有の生活不安定と、親の介護が結びついたときに、親子ともども生活が困窮するという大きな困難に陥りかねないのだ。