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「正社員、既婚子持ち=勝ち組」ではない現実
正規雇用においても、賃金カットやポストの削減、成果主義の導入などを受けて、収入の伸びが頭打ちとなるなど、かつての正社員と比べて環境は厳しくなっている。
そこで、学卒後直ちに企業に就職し、同一企業で働き続ける労働者の賃金カーブを世代別にみてみよう。物価変動の影響を取り除くために、総務省「消費者物価指数」を用いたうえで、実質ベースの所定内給与の賃金カーブで比較してみる([図表1])。
これをみると、就職氷河期世代より下の世代では、上の世代の同じ年齢階級時との間で賃金水準のかい離がみられる。
例えば、男性においては、団塊ジュニア世代の賃金カーブは40代前半から上の世代とかい離が生じ、▲4万〜▲3万円程度低い。40代後半でも、上の世代とのかい離は解消しないままである。
また、ポスト団塊ジュニア世代(前期)においても、同様に上の世代とのかい離が生じ、40代前半では▲6万〜▲5万円程度低い。
そして、女性においても同じ傾向がみられ、30代後半以降、上の世代とのかい離が生じていることが確認できる。
一方、いわゆる、正社員として働きながら結婚し、家庭を持っているケースを想定し、家計を営む世帯単位でみても、就職氷河期世代の厳しい状況が浮かび上がってくる。総務省「家計調査」を基に、二人以上の世帯のうち勤労者世帯における収入をみてみよう([図表2])。
[図表1]の賃金カーブと同様に実質化してみると、まず、一家の大黒柱とされる世帯主の収入が伸び悩んでいる。
例えば、30代後半においては、団塊ジュニア世代、ポスト団塊ジュニア世代(前期)ともに収入が約42万円と、上の世代であるバブル世代や新人類と比べて、▲3万〜▲5万円ほど低い。
また、団塊ジュニア世代の40代後半、ポスト団塊ジュニア世代(前期)の40代前半は、それぞれ収入が増えるものの、新人類など上の世代との収入の開きは総じて埋まっていない。