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「不本意ながら非正規」は減ったものの…
就職氷河期世代が抱える厳しい一面として、バブル経済崩壊後の「高成長を知らない世代」のなかでもとりわけ同世代が取り残されている傾向が強い点が指摘できる。
まさに、アベノミクスでの景気拡大時においても「不遇の世代」とも呼べるべき状況となっていたのだ。
例えば、雇用面では、非正規雇用比率が高止まりするなかでも、その中身に違いがみられる。
総務省「労働力調査」から、なぜ非正規雇用に就いているのか、その理由を非正規雇用者全体に占める割合でそれぞれみると、ライフステージの変化の影響を相対的に受けにくい男性において、2019年に就職氷河期世代の中心層となる35〜44歳、さらには同世代の年長者である団塊ジュニア世代を含む45〜54歳は、「自分の都合のよい時間に働きたいから」といった自ら望んで選択したケースが、若い25〜34歳と比べて低い([図表1])。
一方で、「正規の職員・従業員の仕事がないから」といった不本意ながら非正規雇用を続けざるを得ないケースは、アベノミクスが始動した2013年から2019年にかけて、35〜44歳が44.3%から30.2%と▲14.1%ポイント低下、45〜54歳が45.5%から32.3%と▲13.2%ポイント低下している。
とはいえ、その低下幅は25〜34歳の▲18.3%ポイントよりも小さい。そして、水準そのものをみても、自ら望んで選択したケースよりも高く、そのかい離の幅は、2019年には35〜44歳が9.5%ポイント、45〜54歳が14.5%ポイントである一方、25〜34歳は3.6%ポイントと相対的に小さい。
アベノミクス後の景気回復により不本意な非正規雇用者の減少が進んだのは事実だが、その中心は就職氷河期世代よりも下の若年層というのが実状である。