(※画像はイメージです/PIXTA)

離婚できるか・できないかは「相手の同意を得られるかどうか」にかかっています。同意が得られなければ、①協議→②調停→③調停の順に段階を進めて行きますが、実は離婚の9割は①の「協議」で決着が付いているのです。では、協議離婚の流れや、万が一協議が成立しない場合に備え、調停の流れを確認しておきましょう。

離婚届の提出…注意すべきポイントは?

離婚そのものは、双方が同意して「離婚届」が出せれば、それだけで成立します。未成年の子どもがいる場合には、子について親権者がどちらになるかは決める必要がありますが、そのほかの養育費などの条件は、離婚届に書くわけではありません。

 

なお、離婚届は本籍地のある役所に提出するのが原則です。本籍地以外の役所に提出する場合、戸籍謄本を添付する必要があります。

 

また、届出人の本人確認書類のほか、婚姻届と同様、離婚届には2人の証人のサインが必要になりますので、注意が必要です。

「離婚協議書」を作成すべき場合とは?

離婚の際に以下の条件が伴う場合は、「離婚協議書」を作成し双方署名・押印しておく必要があります。

 

・子について親権以外に養育費の取り決めがある場合
・(分割払の)慰謝料がある場合
・財産分与・年金分割がある場合
・子の面会について取り決めがある場合

 

また、離婚協議書に記入しておくことが望ましい項目には、

 

・親権者
・養育費
・面会交流
・財産分与
・年金分割
・慰謝料
・その他、取り決めしておきたいこと(連絡方法など)

 

などがあります。

「公正証書」を作成しておくべき場合とは?

離婚協議書をさらに「公正証書」にした方が良いのは、どんな場合でしょうか。

 

①年金分割について履行を確保したい場合
②養育費、その他の分割払いの債務がある場合

 

特に、②について、財産分与などで今ではなく将来支払われる約束がある債務、一括ではない慰謝料など分割払の債務、養育費など継続的に支払われる債務は、「不払いの際には強制執行に服する」ことを受け入れる文言(「強制執行認諾文言」)付きの公正証書にすることを強くお勧めします。

 

これがあると、裁判をしたのと同じ効力が生まれ、万が一不払いのときには、相手の財産や給料を差し押さえて、強制的に支払わせることができるからです。

「調停申し立て」をする際に必要な書類

“調停”は、裁判官の判断に服する厳格な”裁判”の手続きとは異なり、話し合いを家庭裁判所の場に移し、調停委員を介して引き続き話し合いをする手続きです。

 

申し立てる側が、原則として相手の住所地を管轄する家庭裁判所に調停を申し立てます。
各地の管轄の裁判所のHPで、夫婦関係調停申立書の書式がダウンロードできるようになっています。「夫婦関係調整調停申立書」のほかに、「申立人の戸籍謄本」を添付する必要があります。

 

また、東京家庭裁判所では、以下の書類が必要となります。

 

●照会回答書…裁判所が調停をスムーズに進めていくための参考資料
●事情説明書…申立の内容に関する事項を伝えるための書類。争いの対象が何かを具体的に記載するもの。
●連絡先等の届出書
●(年金分割を求める場合には)年金分割のための情報通知書

 

「裁判費用って高いんでしょ」というイメージを持っている方は少なくありませんが、申立をするだけでは、費用は印紙代1,200円、別途収める郵便切手代が数千円分あるのみ。
弁護士に依頼した場合には、別途費用がかかりますが、これはあくまで「弁護士費用」となっています。

 

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本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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