首都圏の地価はまだ上がる要素がある!?
筆者は常々、公務員にとって、最強の投資対象は不動産だと話しています。その理由をこれから詳しく説明しましょう。
1.圧倒的にインフレに強い
消費者物価指数が1950年から2014年までに8倍になりました。ところが、不動産価格は同じ期間にこの8倍をはるかに凌ぐ値上がり率を記録しています。
たとえば、1947年の銀座4丁目交差点付近の坪単価は15万円でした。これが2008年には1億7000万円にまで上昇しています。8倍どころか、1133倍です。現金は、8分の1の価値になってしまいましたが、同土地は所有しているだけで価値換算でも1133÷8=約142倍になったのです。
株式もインフレに強いと書きましたが、同時期の上昇率は200倍程度です。立地条件にもよりますが、不動産のインフレにおける強さは株式と比べても圧倒的です。銀座4丁目の例は極端かもしれませんが、ほかの地域、特に首都圏においては、まだまだ地価が上がる要素があります。
東京五輪のインフラ整備は長野五輪の比ではない
まず、確実性の高い要素が、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催です。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの経済波及効果は、およそ3兆円といわれています。それにともなう雇用の誘発数は、およそ15万人。特に開催地である東京都の効果は大きく、およそ1兆7000億円、8万4000人です。
今後、東京都を中心に、首都圏の景気はよくなっていきます。景気がよくなるということは、地価も上がるということです。これを証明するものとして、1998年に開催された長野オリンピックの例があります。
同オリンピックは、バブルが崩壊した1991年に開催が決定しました。この年、全国の地価は一気に下がり始め、2000年には1991年に比べて70%前後も値下がりしています。一方で長野市では、地価がだんだんと上昇し、五輪開催後の2000年には1991年に比べて20%以上も値上がりしました。
東京五輪前後のインフラ整備は、長野五輪の比ではありません。主なものをあげると次のようなものがあります。
●新線、新駅
・JR上野東京ライン(2015年3月)
・JR渋谷駅埼京線ホーム移設(2020年春)
・JR品川駅―田町駅間の新駅暫定開業(2020年)
●首都圏3環状高速道路
2015年から2020年までに、外環自動車道(東京外かく環状道路)、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)、中央環状線(首都高速中央環状線)の首都圏3環状道路が開通。都心環状線の通過車両が分散し、慢性的な渋滞を解消できるようになります。
●リニア中央新幹線
2027年開業予定。東京(品川)―名古屋間を現在の約1時間30分から40分程度に短縮します。
都内に特区を設けるプロジェクトが雇用増加に貢献
次に首都圏の地価を押し上げる要素として注目しているのが「アジアヘッドクォーター特区」です。
東京都は、2016年までにアジア地域の業務統括拠点・研究開発拠点を設置する外国企業50社を含む外国企業を500社以上誘致することを目標とする「アジアヘッドクォーター特区」を推進しています。これはアジアにおける企業拠点を東京都へ集積させることを目指し、都内に特区を設けるプロジェクトです。
都はアジアの業務統括拠点や研究開発拠点を設置する外国企業に対する税制優遇などを掲げています。東京都の試算によると、その経済波及効果は約14兆6000億円、雇用誘発数は約93万人にのぼります。
このようなことから、首都圏を中心とした地価は、今後数十年は上昇する可能性が高いでしょう。つまり、不動産のインフレにおける強さは安泰といえます。
筆者は、基本的に不動産投資は売却益(キャピタルゲイン)を狙うのではなく、家賃収入(インカムゲイン)を長期間得ることをお薦めしています。その方が手間がかからず、安定した収益を期待できるからです。その一方で今後数十年は、キャピタルゲインを得るチャンスも多分にあると見ています。
次回も今回に引き続き、公務員にとって最強の投資対象は不動産である理由について見ていきます。