FX最初の武器となる「移動平均線」
本連載では、移動平均線というテクニカル・ツールを、FXの最初の武器として使う方法を説明します。
移動平均線を用いた取引手法はシンプルです。値動きがチャートに設定した単純移動平均線より上か下になっているカタチを探すことで、トレードを判断します。初心者でも儲かりやすい相場を見つける武器となるツールです。
現在値と移動平均線の「位置関係」に注目する
まず移動平均線とは何かを説明していきます。算数の話になるので、面倒に思われるかもしれませんが、この話はお金につながるものですので、しっかり理解してください。
移動平均線を一言でいうと、「価格の平均値をつなげた線」です。
ここからは1時間のローソク足10本(期間が10)の単純移動平均線を例に説明していきます(下記図表1参照)。期間が21でも、200でも1500でもしくみは同じです。
[図表1]平均値をつなぐ移動平均線
まず平均するためには、個々の数値を足し合わせて、個の数で割ります。期間が10ということは、10個の価格の数値、例えば各ローソク足の終値を足したものを10で割って終値の平均値を出します。
その平均値は10本目のところに記されます。そして11本目のローソク足が出たら、今度はこの11本目が10本目(期間が10だから)となるように数えて、同じように平均値を出して11本目に記します。これで前に記した平均値の点と、新たに記した平均値の点で2つの点ができます。この2点を結んだ線が平均線です。
これを繰り返すことで、常に一定期間(この場合は10)の平均値がチャートに記され、それをつなげていくと移動平均線となります(上記図表1参照)。
移動平均線をチャートに加えるだけで予測が容易になる
移動平均線が表示されていくしくみを説明しましたが、もちろん実際にFX取引でどう使うかが重要です。
移動平均線は、平均値をつなげた線なので、この線が直近のその期間での平均を示しています。ということは、現在値が平均より上ならばさらに上がりやすく、逆に下ならば下がりやすくなります。
これが移動平均線を見るうえで最も重要なサインです。私も常にこのかたちを探していますし、世界中のトレーダーも同じです。そして、ローソク足が移動平均線と接触している場合は、現在の値動きが平均値に近いわけですから、上にいくのか、下にいくのかがわかりにくい状況にあるわけです。
下記図表2を見ると、Aではローソク足が、始値よりも終値のほうが高く、上昇の兆しとなる陽線になって移動平均線を越えていくと、その後のローソク足も移動平均線の上側で推移して上昇トレンドになっています。
[図表2]移動平均線より上か下かをチェック
その後、上値が伸びなくなりBで陰線が出て移動平均線とローソク足が絡み始めるとしばらく移動平均線の近くで上下する動きが続きます。これがレンジ相場(B〜C)です。結局はCで下げ始めて下降トレンドになっていきました。
このようにローソク足の陽線・陰線だけでなく1本の移動平均線をチャートに加えてみるだけで、今後価格がどう動くのかの予想がつきやすくなります。
<キーワード>
単純移動平均線
本連載で解説している移動平均線は、直近の価格を平均していく単純移動平均線(SMA=Simple Moving Average)です。ほかにも指数平滑移動平均線や、加重移動平均線、そして、ずらした移動平均線がありますが、今回はシンプルな単純移動平均線だけを使います。
イラスト:伊藤ハムスター