(※画像はイメージです/PIXTA)

ここ最近、著名な夫婦の「父親を親権者として離婚」という報道が相次ぎました。どうして話題になるのか、背景には何があるのか、そもそも、父親が親権者となるというのは、どういうことなのか。今回は、世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が長年、家事事件を取り扱っているなかで感じた「父親が親権を取ること」について紹介していきます。

日本における「母性優先の原則」の背景にあったもの

ひとむかし前は「母性優先の原則」などといわれましたが、乳呑み児でない限り、ママであることをもってのみ親権者が決まるものではなく、今までの監護状態に問題がない限り、それを継続するのが望ましい(継続性の原則)というほうが重要です。

 

それゆえ、やはりこれまで母での育児が7、8割方だった、などということになれば、引き続き母が親権者に定めることになる、というのが一般的であったものです。

 

一方で、夫婦共働きで、「父も母とほぼ同じように育児してきました」という場合には、甲乙つけがたい、といったことが生じるようになります。

 

芸能人同士のようなビッグカップルは、当然、父も母も仕事をしていますし、「母だけが全面的に育児を担っています」とはならないですから、父が親権者となって離婚に至ったというのも、頷ける帰結です。

 

親権を争って裁判にまで至る場合は、その対立は熾烈なものになる場合もありますが、あくまで離婚する二人が同意できる場合で、そのことで今後のお子さんに不利益が生じない場合なら、当然、父・母のどちらを親権に定めてもOKなのです。

 

共同親権のことが話題になりすい昨今ですが、日本で立法に至るかどうか、至るとしていつごろになるかはまだまだ不明です。それまでの間、芸能人カップルのように、父を親権者と定めた離婚の形も少しずつ増えてくるのかもしれません。

 

 

水谷江利

世田谷用賀法律事務所弁護士

 

 

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本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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