前回に引き続き、突然の病気に備えてしておくべき相続・隠し事対策について見ていきます。今回は、妻の認知症対策をしておくことで、相続がスムーズになる理由を見ていきます。

妻の認知症が進むと遺産分割協議書を作れない…

認知症対策を考えるなら、自身が発症した時のことだけでなく妻が発症した時のことも想定しておくべきです。2025年には65歳以上の5人に1人が認知症を発症すると予想されているのですから、これはごく当たり前の用心と言えます。

 

これまでの連載でも説明した通り、認知症になると判断能力が低下しますから、それに応じて法的な行為も制限されます。そのため、高齢の妻が相続人になった時には、認知症の進行の程度によって法的に有効な遺産分割協議書が作れないこともあります。

 

何の備えもなければ、認知症であることが判明した時点から成年後見の申請を行い、裁判所が後見人を選任。後見人が参加して遺産分割協議書を作成し、協議書に後見人が代理で署名捺印することでようやく相続が完了します。

 

成年後見の申請から始動まではかなり長い期間がかかります。その間は自社株や事業用資産の相続も宙に浮いてしまうため、タイムリーな経営ができないこともあり得ます。ですから、妻に少しでも認知症の兆候が現れたら早めに任意後見の手続きをとり、任意後見契約を結んでおくとよいでしょう。

場合によっては病気を隠しながらの対応も必要!?

年を重ねる中では認知症以外でも大きな病を抱えてしまうことがあります。厚生労働省によると、日本人の40~89歳までの死因ナンバーワンは「がん」です。以降は心臓の病気、脳血管の病気、肺炎、自殺、不慮の事故などが上位を占めます。

 

重症化する可能性がある病気の診断を受けた時には、相続のことを真剣に考えねばなりません。

 

特に社長の場合には、家族はもちろん従業員やその家族の生活まで背負っています。そういった人たちが安心して暮らしていける態勢を整えることは、最後の大事業と言えるかもしれません。

 

カリスマ性の強い社長であればあるほど、病気や死亡は事業にとって大きなダメージとなります。病気のことが知れたら、取引先がリスク回避のためにライバル企業へ取引の打診をし始めるかもしれませんし、従業員があらぬ噂に動揺して事業運営に支障を来すなど経営にとって不利なことが起きかねません。

 

ですから、場合によっては病気のことを隠しながらの対応が必要となります。病気が進行すれば判断力が鈍り、できないことが増えていきますから、経営者としての能力がまだ十分なうちに事業の将来について道筋を付けておくことが大切です。

 

後継体制が整い、現社長が事業方針をしっかり立てた後であれば、病気のことを知った取引先や従業員もそれほど心配せずに済みます。

本連載は、2015年10月27日刊行の書籍『妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

佐野 明彦

幻冬舎メディアコンサルティング

どんな男性も妻や家族に隠し続けていることの一つや二つはあるものです。妻からの理解が得にくいと思って秘密にしている趣味、誰にも存在を教えていない預金口座や現金、借金、あるいは愛人や隠し子、さらには彼らが住んでいる…

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