前回は、相続を見据えた機密度「中・低」レベルの隠しごと対策について取り上げました。今回は訴訟・裁判で「隠しごと」が暴かれるリスクについて見ていきます。

訴訟に発展しやすい借金問題、名誉にかかわる女性問題

隠しごとをする上で大切なのが、絶対に訴訟を起こされないよう予防することです。裁判は公開が原則ですから、これまで隠しごとを守るのに費やしてきた苦労は水の泡となります。

 

隠しごとの中で訴訟に発展しやすいのが「借金の問題」です。返済を求められた時の備えができていればよいのですが、そうでなければ家族と債権者が争いを起こして裁判沙汰になり、世間に広く知られてしまうことにもなりかねません。

 

もう一つ、裁判の原因となりがちなのが「女性問題」です。それまで妻や家族に内緒にしていても、訴訟になればもちろん存在が明らかになり、従業員や地域の人にまで知れ渡ってしまいます。

 

さらに裁判は誰でも傍聴することが可能です。女性関係を巡る裁判の中では、さまざまな情報が開示されることがあります。メールなど生々しいやりとりが広く知られてしまうことで社長自身の名誉が傷つくのはもちろん、家族にとっても辛いことになります。

不自然なお金の流れが隠しごとを露呈させる要因に

税務署はお金についての隠しごとを暴くプロフェッショナルです。隠し財産など妻に対する隠しごとが税金につながるものだとすれば、税務署が家に調べに来ることもあります。

 

お金の流れなどを細かくチェックされる中では、使い道についても確認されます。ギャンブルや秘密にしていた趣味などに費やしていた場合は、税務調査を通じてすぐに発覚してしまいます。家族や従業員、取引先といった関係者に話を聞くことも多いので、不自然なお金の流れから隠しごとが露呈するのです。

 

税務調査で隠していた資産が見つかれば、延滞税や加算税などの附帯税が発生して、隠しごとが家族にばれるだけでなく金銭的な迷惑もかかります。さらに、税に関する不正の額が大きかったり悪質だったりすると、国税局の査察が入ることがあります。ひどい脱税の場合はニュースになり、インターネットなどのメディアを通じて親族や従業員なども知ることになります。

 

また、取引先の金融機関に情報が流れれば、その後は融資が受けにくくなるなど厳しい対応をとられることもあり得ますし、家族だけの問題では済まなくなる可能性があります。

本連載は、2015年10月27日刊行の書籍『妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

佐野 明彦

幻冬舎メディアコンサルティング

どんな男性も妻や家族に隠し続けていることの一つや二つはあるものです。妻からの理解が得にくいと思って秘密にしている趣味、誰にも存在を教えていない預金口座や現金、借金、あるいは愛人や隠し子、さらには彼らが住んでいる…

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