「ご家族で話し合いを」自宅介護の父が心肺停止…最後の選択を知らせた医師の言葉 (※写真はイメージです/PIXTA)

長時間の心肺停止から奇跡的に命を取り留めた父。しかし、現実とは残酷なものであり、停止中に酸素が脳へ供給されなかったため、意識を取り戻すことはないだろうという医師からの宣告を受けました。そして、家族は最後の選択をしなければならなくなってしまうのです。

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迫りくる終焉の前にしなければならない選択とは

ひと昔前であれば、心肺停止からの蘇生とは難しい事象だったに違いありません。ましてや父の状態は、画期的な進化を遂げる現代の最新医療設備と技術をもってしても救命できるものではなかったでしょう。

 

心肺停止する前まで、父の状態は普通だったそうです。いつもと変わらない夜の時間が過ぎていくなかで、家事を済ませていた母は、虫の知らせとでもいうのでしょうか、ふと父のことが気になったそうです。

 

いつもは舌を鳴らして、ちょっとしたことでも呼びつけるのが、その日に限って静かだったこと。これも母の心配を煽りました。

 

ベッドの脇から父の様子を見ると、苦し気な表情を浮かべていたそうです。声をかける母の声にも反応をせず、いつもなら呼吸で曇る透明なマスクもクリアなまま。直観的に呼吸していないと思った母は、すぐ119番をしたそうです。駆けつけた救急隊の蘇生にもかかわらず、父の呼吸は回復しません。絶望的な状況ではありましたが、とにかく急いで病院に搬送することになったそうです。

 

遅れて駆けつけた私に、母は繰り返して「いつもと変わらないと思ったので油断したのかもしれない。そばで看ていたらよかった」と繰り返すばかり。それに寄り添う弟の顔もまた、ショックを隠し切れないのがわかりました。

 

私もまた、病院へと向かっている間は、頭のなかを父との思い出が走馬灯のように流れていました。このまま天に召されてしまったら、最後に交わした言葉はなんだったのかすら思い出せないかもしれない。そうした後悔の念ばかりが浮かんでは消えて行きました。しかし、母と弟夫婦の姿を見て、突然その視点が切り替わりました。同居をしていない家族だからなのでしょうか。

機械で強制的に呼吸をさせられている父が寝ていた

病院に着いた私が最初にしたこと。それは、現状を理解するための情報収集でした。このコロナ禍で院内への立ち入りもかなり制限された状態です。家族ということを救急センターのインターンフォン越しに伝えると、看護師さんが出迎えてくれました。

 

ベッドに案内されると、そこには機械で強制的に呼吸をさせられている父が寝ていました。脈も弱く、元気なときは高かった血圧も、生きているギリギリの数値です。わかってはいましたが、その現実を突きつけられたとき、一瞬でしたが思考回路が停止しました。すると、看護師さんが優しく諭すように父に話しかけました。

 

「よかったですね、息子さんが来てくれましたよ」

 

そうだ、私は父のところに来たのだ。まずはそれを彼に告げなければならない。意識をなくしている父に、声を届けて迎えにいかなければならないのだ、そう思ったのです。そして、父の耳元で「遅くなったけど今着いたよ。子どもたちは後から来るから、しっかり頑張るんだよ」と告げたのです。

 

しかし、奇跡が起きて、父が目覚めることはありませんでした。苦悶の表情を浮かべて、ただ眠る父を前に、私たち家族は頭をなでてあげたり、手を握ってあげたりすることしかできませんでした。やがて、担当をしてくださっている医師が来られて、状況を詳しく教えてくださりました。

「このまま延命させることがいいことなのか」

長時間にわたって心肺停止したため、脳への酸素供給が断たれ、致命的なダメージを受けていること。そのため、呼吸機能にも影響があり、人工呼吸器なしでは延命させることができないということ。そして、仮に意識が回復したとしても、周囲の状況はわからず、家族のことも認識できないだろうということ。また、救急では数日しか預かれないため、別の専門病棟もしくは施設に移すしかないということでした。この説明を受けた後で、医師の口から出た言葉は、私たちに最後の選択をするときが来たことを悟らせるには十分でした。

 

「ご説明した状況のなかで、このまま延命させることがいいことなのか。仮に延命させるとした場合、気管切開をして呼吸器を装着しなければならず、自宅での介護は不可能だと思います。どのような形にされるのか、救急でお預かりできる間に、ご家族で話し合いをしていただけますでしょうか」

 

このまま人工呼吸器を外すことは父の死を意味します。かといって、医師の言うように、散々苦しんできて最後まで手術をして機械を装着し、意識のないまま、ただ生かされているのがいいことなのか。その場で答えが出るわけもありません。父が運び込まれてから数時間付き添ったあと、私たちはいったん実家へと戻ったのでした。

 

全員が複雑な思いのなかで、どうすべきなのか答えの採択に悩みました。帰り際に言われた「会わせたい方がいらしたら、今のうちにお呼びしておいてください」という看護師さんの言葉から、このままでは残された時間も少ないのだ、ということも改めて理解できます。私たちが最初にしたことは、結論を出すことではなく、まず親族に知らせることでした。悩んでいても時間だけは過ぎて行きます。その結果、やり残したことだけはなくさなければいけません。

 

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建設会社で現場管理職を12年勤める。交通事故での負傷を機に出版業界へ転職。フリーのライターとして活動後、組織化して編集プロダクションOFFICE-SANGAを主宰する。少数精鋭のスタッフと、ネットワークで結ばれた外部協力スタッフとの連携を事務所の核としながら、自らも現場を精力的にこなす。『現場監督が暴く! 欠陥マンションの簡単な見抜き方』(ブックマン社)など著書・編著多数。

著者紹介

連載自宅介護の現実「ある家族の8年間の戦い」

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