医師だって、飲むときは飲む…「大人の嗜み」ウイスキー豆知識 (※画像はイメージです/PIXTA)

ある愛知県の産婦人科病院院長が、飲酒後に出産手術をしたというニュースがありました。このケースでは、勤務前でも常習的に飲酒をしていたことがわかり、医師と酒の倫理観が問われているものです。勤務前に飲酒するのはいかがなものか…とは思いますが、プライベートな時間ならば、医師だって酒ぐらい飲みたいときはあるでしょう。アルコールは消毒だけに使うモノではないっ! というわけで今回は、「大人の嗜み」、ウイスキー豆知識を紹介します。

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蒸留酒は「不老長寿の秘薬」として広まった?

ウイスキーは、その製造方法から蒸留酒のひとつに数えられています。この蒸留酒とは、アルコール発酵させた醸造酒(ワインやビール、日本酒など)を蒸留機で加熱して作られます。蒸留する際、水より沸点の低いアルコールが気化する性質を利用しています。先に蒸気となったアルコールを集めて液体に戻すと、よりアルコール度数の高い酒ができるのです。たとえばモルトウイスキーの場合では、この蒸留作業を2回行います。この作業でアルコール度数を70%前後まで高めたものに、加水によって風味や度数を調整します。そして、樽に詰められ寝かされるのです。

 

芳醇な香りでも知られるウイスキーですが、この蒸留方法が風味を大きく左右するポイントでもあるのです。使用される蒸留機は単式蒸留機(ポットスチル)と連続式蒸留機(パテントスチル)の2種類で、その種類によっていずれかの蒸留機が使われます。また、加熱する熱源などが蒸留所によって異なるのですが、そのことがそれぞれの銘柄の個性を生み出す要素のひとつとなっています。

 

この蒸留技術とは、偶然の産物でした。さかのぼること4世紀ごろ、エジプトで生まれた錬金術は、世界中へと広まっていった時代です。この錬金術は地中海岸を沿うようにヨーロッパへと広がりました。あるとき、なにかの発酵液が錬金術用の坩堝に入り、度数の高いアルコール液が出来上がったのです。手違いから生まれた偶然こそが、蒸留技術の誕生だったといわれています。

 

やがてスペインに錬金術が伝わりこの蒸留技術が持ち込まれると、人々は醸造酒を蒸留してアルコール度数の高い酒をつくり始めました。その酒は生命の水と呼ばれ、不老長寿に効く秘薬として飲まれるようになっていったのです。科学的な根拠のない時代に、医学でもなかなか解き明かすことのできない不老長寿の効果を謳うあたり、人の知恵には頭が下がります。やがて錬金術が世界へと広がっていくと、蒸留技術や生命の水もいっしょに広がっていきました。

 

こうして人々の間に浸透しはじめた蒸留酒ですが、これがウイスキーとなったのはアイルランドという説が有力のようです。アイルランドで蒸留酒の生産が始まったのは、18世紀ごろと伝えられています。当時、ぶどうが収穫できなかったアイルランドでは、ビールづくりが盛んに行われていました。蒸留の技術が伝わると、人々はビールから命の水を作りました。これがウイスキーの歴史のスタートというものです。

 

こうして人々の間に広がったウイスキーですが、原料には大麦が使われます。収穫したばかりの大麦は「休眠」という寝た状態になっており、そのままでは発酵しません。発酵させるためには、まず大麦を発芽させる作業が必要になるのです。

 

精選された大麦は水に浸され、やがて発芽します。このとき、粒の汚れや雑味成分を洗い流します。水分を残したままにしておくと、麦芽はどんどん大きくなってしまうので、最適な大きさになったところで成長を止める必要があるのです。そのため、ここで乾燥作業が行われます。この乾燥で使われる熱源が「ピート(泥炭)」です。ウイスキーの魅力のひとつともいえるスモーキーな香りは、この段階で生まれるのです。このピートは風土によって香りが大きく異なります。そのため、蒸留所のある場所や使っているピートによって香りが違うのです。ウイスキーの香りを楽しみながら、作られた場所への思いを馳せてもいいかもしれません。

原材料で知るウイスキーの種類

ここまではウイスキーの誕生と魅力についてざっくりとお話をしましたが、次にウイスキーの種類を知っておきましょう。ウイスキーの条件のひとつに、原材料が穀物である、ということがあります。使われた穀物によって、ウイスキーは大きく4つに分けられています。

 

まず、大麦だけを使用したモルトウイスキー。ピートを乾燥の熱源として使用することでも知られており、銘柄ごとの個性が強く根強いファンが多いウイスキーです。モルトウイスキーにもいくつか種類がありますが、なかでもシングルモルトウイスキーと呼ばれるものは、一カ所の蒸留所で作り、他のウイスキーはブレンドせず、度数のみ調整したもの。こだわりのファンが多い種類といえます。

 

大麦だけでなく、ライ麦やトウモロコシといった他の穀物を蒸した後、大麦麦芽で糖化させてつくるウイスキーで知られるのがグレーンウイスキーです。シングルグレーンとして単体で瓶詰め・出荷されることはほとんどなく、濃厚なモルトウイスキーの風味をやわらげるためのブレンド用として使用されることが多いのが特徴。優れた風味のブレンドウイスキーをつくるためにはグレーンウイスキーの高い品質が求められるのです。

 

トウモロコシを51%以上79%以下の分量で使用しているのがバーボンウイスキー。もともとの生産地がアメリカのケンタッキー州東北部のバーボン郡(当時)であることから命名されました。トウモロコシ以外に大麦やライ麦が配合され、糖化、発酵した後に連続式蒸留機で蒸留します。蒸留した後に、内側を焼き焦がしたアメリカンホワイトオーク材の新樽に入れて2年以上貯蔵・熟成させるのも、バーボンウイスキーとしての条件となっています。

 

トウモロコシを主原料に使用したものはもうひとつあります。それはコーンウイスキーと呼ばれており、製法もバーボンとほぼ同じなのですが貯蔵法が異なっています。コーンウイスキーの場合は、内側を焼き焦がしていないオーク材の樽で貯蔵するので、バーボンとは風味が異なり、色合いも無色透明に近いです。もう一点、バーボンウイスキーとの違いは80%以上のトウモロコシが使われていること。またバーボンウイスキーは2年以上熟成させるのですが、コーンウイスキーは貯蔵期間が6カ月程度のものが多いという特徴があります。

 

数ある酒のなかでも、もっとも奥が深いといわれるウイスキー。もちろんここまでお話したことがウイスキーのすべてではありません。ウイスキーをこれから嗜もうという人たちにとっての入り口として、知っておけたら楽しみ方の幅が広がりそうですね。
 

 

 

 

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